谷和野/アドレスどちら


アドレスどちら (1) (フラワーコミックスアルファ)

■家族制度が違う社会を描くSF的作品は、 良くも悪くも70年代少女漫画風。

寮制度の学校にやってきた少年。 他の学校には通ったことはなく、読み書きも出来ないという。 その子の世話を「お母さん」から仰せつかった 少女は、そのことを他の「お母さん」や「お父さん」には 言わないようにと釘を刺されていた。


家族の形が違う社会での話。学校での共同保育スタイルと なっており、学校自体がコミュニティ。そこで、 「お父さん」「お母さん」と呼ばれる先生のような 保育士のようなメンターのような存在が複数存在し、 担当制度が敷かれている様子。


そんな中に、異物として放り込まれてきたのが少年。 彼は、おそらくは実の父母のもとで育てられてきた様子。 しかし社会がかような形なので外に出ることは許されず。 一方で読み書きも教えられなかった理由は果たして何故なのか。


但し物語の本題はそこにはないようで、オトナたちの思いと、 それに救われたはずの子供、「学校制が始まってから 大人のせいで死んだ子は1人もいない」という話。 絶対とお父さんお母さんたちが思われていたが、 そこに風穴をあけた少年の行動。彼をトリックスターとしつつ、 たぶんは彼の面倒を見ている少女が本作のヒロインとして 能動的に動いていく話となるのだろう。


まぁ、構造や構成はわかる。絵も雰囲気も内容も似合っている。 ただ、1970年代の少女漫画を読んでいる者にとっては、 なんか既視感がある話だな、という思いがする。 別にそれでも良いのだが、突き抜けたものがない分、 新しみも感じないとなると、両手をあげて「いいね!」とは 言いづらい。若い人は素直に楽しめば良いと思いますが。


同じような話でも、「 約束のネバーランド 」だと 対決や脱出の知恵比べを前面に出していてテクニカルに 読みやすい分、そこに取っ付く人がいたように思う。 「 進撃の巨人 」も同じで、コアとなる部分に 目新しいものは実はなく温故知新というか 過去もののリメイクに近いのだが、 デコレーション要素が目を引いて人気になる、 という仕掛け。今どきはそういう作り方がより向いているのだろう。


ただしそうした作りの作品は 話を収束させていく必要があるために、 完結に向けて広げた風呂敷を畳んでいくため 失速していく感じとなり、構成がしっかりしていないと ぐだぐだ感が出ることになる。 本作の場合は、そうしたデコレーション で飾り立てなかった分、 巻を重ねることで世界が広がっていくことができれば、 作品が続くにつれ評価はますます上がっていくことになるのだろう。


【データ】
谷和野 (たにかずの)
アドレスどちら
【発行元/発売元】小学館 (2019/2/8) ※電子版で購入
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「いちばんいいスカート」「はてなデパート」等、熱烈なファンを持つ谷和野の新シリーズです。


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