【オススメ】 小林有吾/ショート・ピース


ショート・ピース(1) (ビッグコミックス)

■【オススメ】素晴らしい青春。 高校の映画部を舞台にした、 天才たちの葛藤の話。 人物の絡め方が上手い。

2017年11月発行、と時間が経ってしまったが、 これは傑作。高校の映画部を舞台にしたお話。


物語は、天才を描く場合と凡才を描く場合とがあるが、 本作が描くのは天才。 ただし、一番の中心人物である 映画部の脚本・演出を手がける天才自身の話とはならない。 彼はある種、神のような存在で、彼がメンターとなり、 能力を引き出す。彼に絡むのもまた天才だが、 その天才の葛藤を描いており、その悩みは概ね 凡才のものとも通じるものであるのが上手い。


構成も素晴らしい。第一話は映画部でもなく高校でもない、 外側の人間から話を始める。仕事を彼ら映画部に持ち込み、 そして映画部に引っ張られていく。その過程で、 やりたいことがあるのなら大人のいうことなど気にしなくて良い、 成功した大人など過去の成功体験というレールに乗っている だけで、そのレールは未来に繋がっていない、 と見せる。読者がそんな気持ちになったところで、 次のエピソードは、大人の忠告に真摯に耳を傾けなかった人の 話である。良い振り幅で物語が進む。


一見素晴らしく見えても、天才には それがテクニックであることを見抜かれる。 よりプリミティブな思いを要求される。 天才は天才を知る、天才のみが天才を知る、 それが本作で唯一シビアでシニカルなメッセージかもしれない。


【データ】
小林有吾
ショート・ピース
【発行元/発売元】小学館 (2017/10/30) ※電子版で購入
■評価→ A(絶品) ■続刊購入する?→★★★★★
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魂を抉り、爽やかな涙が溢れるヒューマンドラマ。


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