真造圭伍/ノラと雑草


ノラと雑草(1) (モーニングコミックス)

■ネグレクト少女と、娘を亡くした刑事の話。 うーん、そっちに行っちゃったか…個人的には、 あまり歓迎しない社会派作品。編集サイドの売り方は最低。

未成年JK風俗の現場、そこに踏み込む刑事。 やる気のない警部補は、そこで、自分の娘に 似た顔の少女を見かける。


その家出少女は他人の空似。それはそうだ、 刑事の娘は、既に亡くなっているのだった。 水難事故で娘をなくし、そして妻とも離婚した。 それ以来、無気力な刑事。 一方、少女は家に送り届けられる。 外面よく対応した親は、その後彼女を折檻するのだった。


行き場のない少女と、少女に娘の面影を見て なんとかできないかと考える刑事。 ただ少女は人にすがることが出来ず、すれ違う。 たぶんにリアリティのある話。 頼れる人もなく、頼りたいときには突き放され、 自分自身も信じられない少女。暮らしは底辺。 とはいえ携帯は持ち、SNSは使う。 そうした子は当然のように犯罪にも巻き込まれる。


少女の行く末を描くに、軌道修正し幸せに、 と願いはするが、大抵は、更生はしない。 自身がそうした暮らしを想像できない。 変わる自信が持てない。そうであれば、 関わった人もまた不幸になる。引きずり込まれる。 良かれと思った厚意がネガティブな反作用として 返ってくる。あるいは、周囲の無理解、 誤解により窮地に陥る。そういう話にならざるを得ない。


そういう物語を描く方向に行ってしまったか、 と著者の過去作品が好きな者としては複雑な思い。 作品として悪くはない、というか良質なものだと 思うが、そういう話を読みたいわけではない、特に 著者の作品として、という思いが勝ってしまう。 フィクションを描ける人には、 駄目な社会の現実を描写するよりももっと 夢や未来を見せて欲しいのだが。 もちろん、この話がそういう展開を見せる可能性もないではないが。


そもそもネタ元が「ギャングース」の原作者の本だったり するわけで、なんでそこに行ったのだろうという疑問のほうが大きい。 そこまで描きたい題材なのだろうか。 ただし、こういうシリアスな話に、モデル絡めてグラビア 作ってコラボレーションする、というセンスは ちょっと受け入れられない。 編集部のこの売り方は、無神経すぎて無理だわ。


【データ】
真造圭伍 (しんぞうけいご)
ノラと雑草
【発行元/発売元】講談社 (2018/11/22) ※電子版で購入
■評価→ B(佳作) ■続刊購入する?→★
■購入:
amazon→ ノラと雑草(1) (モーニングコミックス)

貧困、虐待、JKビジネス。国内外から注目を集める最旬作家・真造圭伍が、この国に生きる少女の今リアルを見つめる衝撃の最新作!/刑事・山田はJKリフレのガサ入れ現場で、亡くした娘にどこか似た少女・詩織に出会う。母親からの虐待で家出を繰り返す詩織に迫る危険。山田は、少女を救うことができるのか。 希望を知らない家出少女と、希望を失くした中年刑事。 二人の出会いが、絶望を溶かしてゆく。


■当サイトの著者他作品レビュー
真造圭伍/休日ジャンクション
【オススメ】 真造圭伍/トーキョーエイリアンブラザーズ 【オススメ】 真造圭伍/みどりの星
【オススメ】 真造圭伍/台風の日 真造圭伍短編集
【オススメ】 真造圭伍/ぼくらのフンカ祭
【オススメ】 真造圭伍/森山中教習所

■当サイトの月間オススメはこちらから


search this site.

mobile

qrcode

selected entries

categories

profile

others

powered

無料ブログ作成サービス JUGEM