香川まさひと、月島冬二/前科者


前科者(1) (ビッグコミックス)

■まぁ、こういう話にならざるを得ないのかな・・・ 保護司を通して描く前科者の切なく哀しい話。すべては、環境なんだよねぇ・・・。

新聞配達とコンビニのアルバイトで生計をたてている 女性が主人公。彼女は保護司のしごともしている。 出所した元犯罪者の更生を助ける国家公務員。 ただし報酬はない。


なんでこんな仕事をしているのか、という問には 微妙な答えしかない。大学へ行くのに奨学金、 それを返そうと思ったが働いた先はブラック企業 で結局倒れて、その医療費が借金として残り、 これを返そうとバイトを掛け持ちしている、 というその設定自体が哀しい。


エピソードは一巻まるまる、 兄を殺した前科者の話に使われている。 婚約寸前の恋人をレイプされたことが動機で 兄を殺害。犯行が計画的だったとして懲役刑を受けたという。 刑務所での態度もよく刑期を残して仮釈放された彼に、 かつての知人が接触してくる。


心ざわつく彼に、果たして平穏は訪れるのか。 真実は、というところだが、二転三転する話は、 田舎の閉塞社会を示すものでしかない。 あることないことを吹き込む人物の存在が、 更に話を引っ掻き回す。 結局、環境だよな、と思ってしまう。 そして吉村昭の「仮釈放」を思いもする。


よくできた話で一巻の終わり方は良い。 ただ、話として作り上げた感はあり、 これをどう読むべきか、どう捉え、どう扱うべきか、 は咀嚼しがたい。単に物語として消費して良いものか。 よくできているだけに、複雑な読後感がある。


【データ】
原作= 香川まさひと (かがわまさひと)、 作画= 月島冬二 (つきしまとうじ)
前科者
【初出情報】ビッグコミックオリジナル(2018年) 【発行元/発売元】小学館 (2018/8/30) ※電子版で購入
■評価→ C(標準) ■続刊購入する?→★★★
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現代日本のリアルを抉った核心的人間ドラマ
現代日本において再犯防止を考えるのは、必須の課題である。 「罪を犯してしまった」者や「道を踏み外した」非行少年の社会更正の橋渡しをするのが、保護司の役目だ。保護司は法務省が委嘱する非常勤で無報酬の国家公務員であり、ボランティアである。 立場の弱い人間が抱える問題に、主人公である保護司・阿川佳代は真摯に対峙する。保護司制度の存続が危ぶまれている今、保護司に求められている姿とは何であろうか?本作は現代日本が抱える問題を掘り下げる本格ヒューマンドラマです。 是非ご一読ください。


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