【オススメ】 磯谷友紀/ながたんと青と−いちかの料理帖−


ながたんと青と-いちかの料理帖-(1) (KC KISS)

■【オススメ】 戦後の京都、主を失くした料亭を 洋食の料理人となった娘が夫となる 者とともに立て直す話。

1951年春に始まる話。舞台は京都。 ヒロインは東山にある料亭が実家。 ただし彼女はいまホテルの厨房に勤めている。 そこは依然として進駐軍が接収している状態。 蹴上の都ホテルがモデルになるのだろう。


34歳の彼女は長女だが、結婚直後に夫は出征し戦死。 父はなくなり、料亭は精彩を欠き、 その立地と佇まいから大阪にホテルを持つ 一族に政略結婚を持ちかけられる。 が、その結婚を受けるはずだった次女は 料理人と駆け落ちしてしまう。 そこで、34歳のヒロインが、まだ19歳で学生の 先方の三男と結婚することになる。


京都舞台のいけずな話。料理長など周辺の 人物も相当だが、ヒロイン自身も、 ずけずけとものを言う大阪人に凝り固まった考えを 常に指摘される。 伝統や歴史なんてものは後から作れないので 大事にされがちなものの、本来すべての物事は 更新されていくべきもので、ただ残すだけ、残っているだけの ものは、邪魔でしかないと思っているので 個人的には京都には何の興味もないので、 この作品の話の流れには何となしに溜飲を下げる感はある。 まぁそんな意図では描かれていないだろし、 寧ろ今の日本の状況こそここで描かれる 京都の料亭に当てはまるだろうと言われればそのとおりと思うが。


冒頭から設定ががらがら変わっていく展開は巧く、 その後は料亭が新しい旦那の方針によって変わっていき、 背後には彼の実家の考えがあるのかないのか、 そこに、女性料理人しかも洋食を作るヒロインの 先進性がどう嵌っていくのか。 怒涛の展開がありつつ、物語の中軸は 年の差夫婦の話であるはずなので、 今後どうなるか楽しみな要素がたくさん。 本作の場合は、19歳の婿が飄々としたなりで ありながらブルドーザー的に突っ走っていく 役割で、そういう人物のいる作品はパワフルで面白い。


【データ】
磯谷友紀 (いそやゆき)
ながたんと青と−いちかの料理帖−
【発行元/発売元】講談社 (2018/7/13) ※電子版で購入
■評価→ A(絶品) ■続刊購入する?→★★★★★
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昭和26年、京都。歴史ある料亭の長女・いち日(34歳)は、夫を戦争で亡くし、調理師としてホテルに勤めている。料亭「桑乃木」は経営破たん寸前で、資金を提供してもらうため、大阪の有力者の家の三男・周(19歳)を婿として迎えることに。その結婚相手のはずだったいち日の妹は、結婚を嫌がって料理人と駆け落ちしてしまう。15歳も年下の婿を迎えることになったいち日――。年の差夫婦が織りなす、旨し麗し恋物語!


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