【オススメ】 筒井哲也/ノイズ


ノイズ【noise】 1 (ヤングジャンプコミックス)

■【オススメ】限界集落に招かれざる来訪者が やってきた。チャレンジングな課題を テーマに描く面倒そうな話。

高齢化と過疎化で苦しんでいた集落が 黒いちじくで大ヒット。ふるさと納税 も好調で、町役場の改修に加え図書館も 新設されることになった。しかし、 いちじく農園の若き経営者は妻子と別居状態。 なぜなら町には小学校もなく、 もしできたとしても同級生などいない環境。 それは親の都合による子供の虐待なのではないか? と妻は思っているのだった。


そんな集落に、見慣れぬ男が。その男は無料販売所 に金を入れずに食し、しかしそれを胡麻化すような 人間。よからぬ空気を感じるが、注射痕や刺青はない。 免許証を見せてくるが、怪しげなジビエをすすめてくる。 実は彼は、かつて起こった女子大生ストーカー殺人の 犯人である様子。刑期を終えて出てきた男が どこに住もうと自由ではあるのだが。


この男が性懲りもなくなにかを起こす、 かというとそもそもそんな相手がいなそうだが、 農園主の妻子に目をつけロックオン。 とはいえ何も事態は起こらぬなか、 農園主とその友人は新任警察官とともに 男を詰問。そこでもみ合うなか、 男は死んでしまうのだった。


なんで殺すことがあったのか、そして それを隠す必要があるのか、という話は 出てきそうな展開である。一方で、 そういう展開でないと、これは物語にはならない、 というジレンマもある。


さて、野暮な話だが。 一定以上の犯罪者は社会復帰させないのが ベストであると思っている。再犯率を一般の人の 初犯率と比べた場合当然前者のほうが高いわけで、 社会の安定を優先するならば犯罪者の更生は 考える必要がない。人権という点では、他者の人権を 簒奪した者は人権を停止するのが当然だろう。 それでも人権や更生を支持するのであれば、 面倒も責任も連帯保証もするんだよな、行動で示す んだよな、と思ったりしている。


ということを考えさせる話、でいいのか、 もっと矮小化された展開になるのか、 しかし広げた話にしたいのであれば確かに この展開ではないのかもしれないなぁ、 と思いつつ。 集落にとって隠すのがよいのか、 誰が話に絡んでくるのか、その先には何があるのか。 ひとまず2巻めは読ませていただくことにして、 そこでどう転ぶのか、見届けたい。


【データ】
筒井哲也 (つついてつや)
ノイズ
【発行元/発売元】集英社 (2018/5/18) 【レーベル】ヤングジャンプコミックス ※電子版で購入
■評価→ B(佳作) ■続刊購入する?→★★★★
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のどかな田園風景が広がる猪狩町では、黒イチジクを地域の特産として、限界集落から一転、活況を呈し始めた。そんな中、イチジク農園を営む泉圭太のもとに鈴木睦雄と名乗る怪しい言動の男が現れる。彼は14年前に女子大生ストーカー殺人を犯した元受刑者だった。平穏な地域社会に投げ込まれた異物が生んだ小さな波紋(ノイズ)が、徐々に広がっていく――…!!


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