【オススメ】 尾崎かおり/金のひつじ


金のひつじ(1) (アフタヌーンコミックス)

■【オススメ】「 神様がうそをつく。 」に続き、思春期、家出もの。前作の焼き直し、 に見えるが本作はその続きが描けるような 広がりのある話になっている。閉塞した状況で 悶々としている人にオススメ。

2013年のベストセレクション(全一巻本) でも取り上げた「 神様がうそをつく。 」の著者による「1」巻表記のついた作品。 本作も飲み込みづらい青春のいがいがしたものが 描かれる。


一人の少年は 練炭を買い、打ち捨てられた廃車で 自殺を試みる。が、そこを 少女がフロントガラスをギターで叩き割って 阻止する。そんなシーンで始まる、田舎の 少年少女の思春期ものである。


一言でいえば、閉塞した田舎では空気が止まり 行き詰まる、という話である。そのなかで、 ヒロインは異質な存在。もともとその土地にいたが、 引っ越しし、それがまた戻ってきた。 母の実家は近所で小料理屋をやっているので地元。 彼女の感想は「おとんがいないとうちって貧乏なんやな」 ということで、父は不在。 彼女がかつての友達に連絡をとり、 再会し、同じ学校に通うのだが、 友人はかつてのままではない。 だが彼女にはそれを気づかせないし、 彼女もそれを気づかない。


友人同士でいじめが発生しているし、 かつての優等生は不良に。しかしそれには理由があって、 彼の父をめぐるゴシップが影響している。 片親など家庭環境をいじることで色々な問題を 顕在化させる手法は前作同様。それは読んでいて切ないが、 人間関係が硬直化し閉塞化している地方の 哀しい現実のフィーチャーか。 その中では、特別な問題がないが凡庸で、 だが嫉妬にかられた行動に走る女の子のキャラクターが、 一番面倒臭く、かつ、田舎を体現しているように見える。 一方でヒロインは、父譲りのギターを弾くのが楽しく、 他の同級生たちと見ているものが違い、完全に異質である。


とはいえヒロインももやもやしたものはある。 そこで、姉のカードを使い、東京へと家出する。 閉塞した地方の話、と思っていたので、 突破口が開放された大都市となるのは当然の帰結か。 あてもなく、だったのだが、その東京には 父親がおり奇跡的に連絡がとれた。なんや、死んでないんかい。 ということで、父親を通して、東京での居場所が出来る。 このツイストによって、「 神様がうそをつく。 」では袋小路に入り込んでしまった家出が、 本作ではその先につながる展開となった。 未来が拓ける物語であることを祈りつつ続刊に期待したい。


【データ】
尾崎かおり (おざきかおり)
金のひつじ
【発行元/発売元】講談社 (2018/3/23) 【レーベル】アフタヌーンKC 【発行日】2018(平成30)年3月1日発行 ※電子版で購入
■評価→ B(佳作) ■続刊購入する?→★★★★
■購入:
amazon→ 金のひつじ(1) (アフタヌーンコミックス)
国内外で大絶賛された『神様がうそをつく。』の尾崎かおり最新作!小学生の頃、大の仲良しだった継(つぐ)、空、優心、朝里。変わらないと信じていた絆には、いつしかヒビが入っていた……。高校生男女4人組が織りなす青春と再生の物語。


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