【オススメ】 田中圭一/うつヌケ うつトンネルを抜けた人たち


うつヌケ うつトンネルを抜けた人たち

■【オススメ】 うつとはどういものか、を知らない人に知らしめるための本。 そして、自身の思いを共有したいうつの人が読むための本。 そういう点では素晴らしい本である。

話題になっていた時点で読みつつ、 どう紹介したものか、と思ったまま時間がたってしまった。 今さら、ではあるが、周回遅れながらアップしておきたい。


著者自身が鬱病となり、その鬱とどう付合い、 どうトンネルを抜けたか、という体験を優しく、ポップに描いている。 さらに、同様にうつヌケした人たちの事例も紹介。 同じような人々に寄り添うような内容となっている。


が。Amazonのレビューを見ると、これは表現の世界で生きる 成功者たちが鬱に陥った話であって、もともと特になにもない 普通のひとが、わからぬうちに鬱に入ってしまった例がない、 参考にならない、特別な人たちの話だ、というコメントが いくつもあった。


いや、事例が成功者寄りなだけで、中身は普通の人とさほど 変わらないと思うのだが・・・。本編でも、自分を肯定するものが 身近にない人はどうしたら?の問に、「ここまでの取材で答えが出てるでしょ?」と返しつつも丁寧に

小さな達成感を得られる「なにか」を見つけよう
ささいなことでもいいので必要とされている役に立っていると実感できる瞬間を持とう!!
と書かれている。なのに本質には目がいかないまま外見の違いで、 これは私とは違う、私はやっぱり駄目なんだ、みたいな 話になってしまうのか・・・。ということで、 本当に鬱に悩んでいる人が救いを求めて読むものではないのかもしれない。 そのへんは著者の思いとは違うのだろう。著者は本に救われたので、 自身も描こうと思ったようだ。だが本当は、 鬱病の人が頼りにすべきは医者なので。 その医者があっているのか良い医者なのか、 という点はあるが、それについては本書掲載のエピソードが 参考になると思う。


鬱になるタイプは自分でなんとかしようとするタイプで、 何かあった場合に責任を自分に求め、結果自殺に向かうことが多い、 などと聞いた。逆に責任を他人に求めるタイプだと 他殺に向かうので鬱になることはないと。雑な話、かもしれないが、 いや、本質はそこなんだろう。 作中でも自分を好きになることを重視されており、 セルフエスティームか、 まぁそういう研修するところはビジネス系のコンサルにもあるよなぁ、 でもそれ宗教と同じだよなと。宗教や信仰は、 まぁ社会にとっては不幸な存在だが個人が勝手に信じる分には 有用なのでそれでいいのかもしれないが。 人は正しいと思うものを他人にも良かれと思って押し付けたくなるものなので。 あまりこの手の話を称揚したくはないのである。 本当はテクニカルに克服する手段があるとベターだと思うのだけれど。


本作は、人それぞれ、という立ち位置がしっかりと示されていて、 それでいて、軽くなる役目をもし果たせるのなら、 という思いも込められている。


【データ】
田中圭一 (たなかけいいち)
うつヌケ うつトンネルを抜けた人たち
【発行元/発売元】 KADOKAWA (2017/1/19) 【発行日】2017(平成29)年1月19日発行 ※電子版で購入
■評価→ A(絶品)
■購入:
amazon→うつヌケ うつトンネルを抜けた人たち

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