【オススメ】 多田基生/やわらかな鋭角


やわらかな鋭角 1【電子限定特典つき】 (it COMICS)

■【オススメ】 この作品が描くのは、信仰か、願いか、救いか。 どこまで踏み込んで描くつもりなのか。

週刊誌記者が追っているスクープは 大河俳優が新興宗教に入信しているというもの。 その現場に潜入すると、 かつて起こった大火災の生き残りの子が 御神体として崇められていることに気づくのだった。


このネタを深掘りしてまたスクープにしようと 考える記者。信者に接触すると、信じると神様が 願いを叶えてくれるのだといい、教えてくれた エピソードは実際にその信者の願ったとおりに 事態は進行していた。


そこに気味の悪さを感じながらも、 読者が求めるストーリーに合致している、 売れるとばかりに取材を進める主人公。 それに対して火災事故を目の当たりにした先輩記者が言う。 「他人のことを調べて書いて飯を食うには無痛でいることだ 他人の痛みに対して鈍くなくちゃいけない ・・・そして 自分の痛みにもだ」


実は主人公の記者も家族に問題を抱えている。 それに目をつぶってきたが、そうもいかない事態が起こる。 一方で、生き残りの御神体のほうにも新たなことが。 ・・・オカルト的な展開に進むのかな、これ。 というのが若干気になるところだが、 不安と痛みを描く内容は興味深い。


ジャーナリストはその仕事の果に 自殺するか狂うかくらいでないといけないのではないか。 そうした葛藤のない記者はすぐに筆を折るべきである。 と考える身としては、先輩記者の発言は腑に落ちた。 まぁでも商売としてのジャーナリストは そんなこと考えもしないのだろう。していたら ツイッターで脳天気にバカを晒したりはしないだろうから。


【データ】
多田基生
やわらかな鋭角
【発行元/発売元】KADOKAWA / アスキー・メディアワークス (2017/12/15) 【レーベル】it COMICS 【発行日】2017(平成29)年12月15日発行 ※電子版で購入
■評価→ B(佳作) ■続刊購入する?→★★★★
■購入:
amazon→ やわらかな鋭角 1【電子限定特典つき】 (it COMICS)
十二年前に起きた、大規模な火災事故。 その事故で生き残った女子中学生が、ある宗教団体でご神体にされているという噂があった。 噂の真相を暴こうと週刊誌記者の渡辺は、宗教団体を調べていくうちに信者から、 どんな願いも叶えてくれる“神様”の話を聞く。 「神様にお願いしたんです、婚約者を殺してやりたいって――。」 信者の妄想だとあざ笑う渡辺。 しかし彼の運命の歯車は、すでに“神様”によって狂い始めていた…。 “神様”とは一体――…?


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