【オススメ】 夏緑、ちくやまきよし、杉本彩/しっぽの声


しっぽの声(1) (ビッグコミックス)

■【オススメ】ペットを飼う、ということを シビアに扱った硬派な作品、なのだが 漫画としては非常にこなれており読みやすい。

窓の割れた家から外へ出ようとする犬たち。 そんなシーンから始まる物語だが、 犬目線の話というわけではない。 アンモニア化した糞尿の匂いが道路まで漂ってくる件の家。 その家は息子が動物の通販サイトを運営しており、 しかし犬が売れなくなったことで劣悪な環境で 放置されていた。そんな息子をかばいつつも もう限界で実際は助けを求めたい母親。


そこに動物愛護団体の女性と連れだち、 獣医師がやってくる。しかし中には入れない。 そこへ、 不法侵入も気にせず入っていく男が現れる。 その人物は動物愛護団体の人間曰く、 「お金持ちのおばあさんを騙して手に入れたお金で、 動物保護シェルダーを騙った施設を運営して・・・ 保護した動物を売りさばいたり、寄付金を騙し取っているそうです!」


偽悪的な人物を主人公にして、シリアスな 題材をシビアに描いていく作品。 主人公は評判は悪いが、真摯に動物のことを考えている。 一方でエリート獣医師は理想を振りかざしつつ、 その実現に邁進している。坊っちゃんではあるが 行動力はあり、この両者のバディものという形で 話は進んでいく。


そこから浮かび上がるのは、ペットの現実。 飼育崩壊したアニマルホーダー、 保健所で殺処分される動物。 注射による安楽死のほうが人道的だという主張や、 野良猫を捕獲し不妊・去勢手術を行って地域猫と して管理していくTNRなど、理想のような話は 結局は対処療法にすぎず現実を直視していないということ。


作品の肝は、「地獄への道は、無責任な善意で舗装されている」 というメッセージ。これでもって話を描いていくとなれば、 読んでいて心地の悪くなる人もいるだろう。 しかし、そういう人ほど読むべき作品と思われる。


【データ】
原作=夏緑、作画=ちくやまきよし、協力=杉本彩
しっぽの声
【初出情報】ビッグコミックオリジナル(2017年) 【発行元/発売元】小学館 (2017/12/27) 【レーベル】ビッグ コミックス 【発行日】2018(平成30)年1月1日初版第1刷発行 ※電子版で購入
■評価→ B(佳作) ■続刊購入する?→★★★★
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動物の悲鳴に耳を傾けて!!!
繁殖業者、生体展示販売、引き取り屋、殺処分………… ペット流通において、 その命はどのように扱われているのか。 誰かと共に生きたくて、 生まれてきただけのペットが 我々の想像を超える状況に置かれていることがある。 声なき声に、 力を与えるも 殺すも人間。 アニマルシェルターの所長を務める天原士狼と 獣医師の獅子神太一は厳然と立ち向かう――


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