柞刈湯葉、新川権兵衛/横浜駅SF


横浜駅SF(1) (角川コミックス・エース)

■ 駅が増殖している、というハードSF、というかSFか?これ・・・と 思ったら「Station Fable」って、寓話かい。 題材はチャレンジング。ただその分、あちこちに無茶が来ているような。

横浜駅が自己増殖をはじめて二百年、「1415番出口の下りエスカレータ下に 築かれたコロニー」に生まれ育った少年の物語。 コロニーは駅が排出する廃棄物により生計をたてている。 そして駅から弾かれてくる 者たちがたまにおり、彼らエキナカの人間により 知識も運ばれてくるのだった。


そのエキナカから逃げてきた者から、 キセル同盟という組織が 自動改札と対決している、横浜駅から人間を解放すべく戦っている リーダーを助けてやってくれ、との遺言を少年は受ける。 駅構内を行き来するには体内に埋め込まれるスイカというものが必要だが、少年には スイカがなくてもエキナカを自由に歩ける 18きっぷなるものが渡されるのだった。


彼は一人、エキナカに潜入する。が、彼の地元近辺には、人が誰もいない。 構内にはエレベータが勝手に生え、それを見つけた人間が勝手に管理している、という。 構内ではスカイネットというネットがあり、スイカ認証が必要な有料会員と CM動画が流れる無料会員とにわかれ、後者を使うしかない主人公はたいした情報を得ることができない。目指すべき42番出口はその在処も不明。経路も不明。食事に硬貨を使ったが 構内ではスイカでの決済が必要なようで、無銭飲食扱いとなり、駅員に拘束されてしまう。 エレベータを管理する大企業やヤクザと同様、駅員も何かにつけて税金を要求してくる ろくでもない連中である、と。


かような、SFのような、いや、そうでもないような話が展開していく。 意志をもって成長を続けていく駅、というのはSFのようだが、 出てくるのはそれを活用している人間たちの話にみえる。 自動改札はあまり何も判断しているようにも動いているようにも見えない。


主人公はエキナカのことを何も知らない。 なので、話を進めるためには、内部を知り彼に協力する者が必要になる。 ということで、増殖する横浜駅を阻む存在である北海道の駅に 関連する組織の者がスパイとして活動しているところで彼と出会う展開に。 しかし、よくわからない話を、さらによくわからない設定で乗り越えるという 流れなので、これ、ハードSFである必要あるのかなと思ってしまう。 まぁその辺は続刊でどうするかというところで。そもそもSFはStation Fable の意味のようであるし。


なんやかんやで甲府へと移動。どうもこの世界では鉄道というものは衰退していると。 でもその古い技術、レガシーを使うことで彼はエキナカをハッキングしていく。 うん、その展開なら、もっと新しい世界の姿を見せる必要があったと思うのだけれど。 しかし主人公はその新しい世界を知らないわけだから、説明もしようがないし、 そうした場面もない。設定がなんかおかしいんじゃないかな、これ。 とは思うものの。まぁ変な話ではあり興味深くはあるので続刊は気になる。  原作はこちら→横浜駅SF【電子特典付き】 (カドカワBOOKS)


【データ】
原作=柞刈湯葉(いすかりゆば)、 漫画=新川権兵衛 (しんかわごんべえ)
横浜駅SF
【発行元/発売元】KADOKAWA / 角川書店 (2017/8/10) 【レーベル】角川コミックス・エース 【発行日】2017(平成29)年8月10日初版第1刷発行 ※電子版で購入
■評価→ C(標準) ■続刊購入する?→★★★★
■購入:
amazon→ 横浜駅SF(1) (角川コミックス・エース)

絶え間ない改築の続く横浜駅が、ついに自己増殖を開始して二百年後の日本。駅が人間を支配する社会「エキナカ」に「18きっぷ」で侵入した外界出身の主人公・ヒロトの旅を描く、話題沸騰のSF大作がコミック化!


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