間瀬元朗/粘菌人間ヒトモジ


粘菌人間ヒトモジ 1 (ビッグコミックススペシャル)

■SFのように見えるがその部分は 仕掛けにすぎず、結局よくある人情ものの変形に見える。

ヒトモジホコリという粘菌の胞子に感染した保菌者は 強いストレスを感じることで発症し、 頭部を残してアメーバ化してしまうという。 その後、硬化をはじめ、子実体上部の胞子が破裂飛散すると 発症者は死亡する。そんな病気が存在するという設定の作品である。


この症状に陥った患者と、救助にかかる粘菌ケアコーディネーター が主役。この病気がなぜ蔓延したのか、は放射能が原因らしいという 説も紹介するが真相はわからず、ということでそこには深入りせず。 バイオホラー、と謳ってはいるのだが、なんかこれ、架空の病なだけで、 ふつうの病気感染ものではないのか?という気がする。


いや、それでも、実在の病気でないので、真偽や風評被害を気にしなくてよい という利点はある。その病気がどういうものなのか、を作りこめるのだから 寧ろ実在の病気を取り上げるよりもフィクションに向いている。


なお本作で秀逸なのは、アメーバ時に発症者のストレスを軽減することができれば、 発症者は変形前の綺麗な身体で生還できる、という設定を付加していることである。 とはいえそれはご都合主義と表裏である。 その点で、SFっぽい設定ながらご都合主義とのせめぎあいであった 「 イキガミ 」と似ているのかもしれない。と、ここまで書いて気がついた。 著者の「 デモクラティア 」紹介しよう、しよう、と思ったままレビューしないでいたら完結してしまったのか・・・。 いや、著者の作品は、なんか、レビューしづらいんだよね。本作も同様。 それは、どこを目指そうとしているのかが判然としないので、なんとも書きづらいのである。 それが魅力ともいえるのだが。


【データ】
間瀬元朗 (ませもとろう)
粘菌人間ヒトモジ
【初出情報】ビッグコミック(2016年〜2017年) 【発行元/発売元】小学館 【レーベル】ビッグコミックススペシャル 【発行日】2017(平成29)年7月5日初版第1刷発行 ※電子版で購入
■評価→ C(標準) ■続刊購入する?→★★★
■購入:
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心解き放つドラマティック・バイオホラー!
ストレスを溜め込み、粘菌人間へと変質した発症者。はたして発症者は「生還」するか「死亡」するか。粘菌人間になり、生きるか死ぬかの瀬戸際に立たされた人間の“生きざま”を鋭く描く人間ドラマが今始まる!!
【編集担当からのおすすめ情報】 作者の過去作『イキガミ』は、単行本累計350万部以上を売り上げ、フランス始めヨーロッパの賞を総ナメし、映画化もされました。 本単行本では、連載時のカラーページを意欲的に所収。 コミックスのカバーには、粘菌が立体的に再現され、作品世界のリアルさを感じさせる装丁になっています。


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