【オススメ】 朱戸アオ/リウーを待ちながら


リウーを待ちながら(1) (イブニングコミックス)

■【オススメ】未来を舞台にした作品なのかと誤解したが、これは架空の地名 を使った話か。そして内容は、アウトブレイク。傑作「 Final Phase 」の著者に再び疫病ものを描かせるだけあり、切り口がひと味違っている。 感染源をすぐには断てない悪夢とどう戦うか。

戦闘訓練で主人公は「・・・もう7時か・・・」と目を覚ます。 富士山の麓にある人口9万人足らずの横走市で、まもなく 自衛隊の総合火力演習が行われる。主人公はその市にある病院 で働く医師である。


近未来なのか?と思うが、どうも別にそういう設定ではない、らしい。 普通の日常のなか、バスでやってきた人物が病院の前で倒れていた。 どうやら自衛隊員らしい。血を吐き、心停止する。 主人公は一応助けるが、その後同様の症状を示す者が運ばれ、その人物は 助からなかった。そして翌日。件の転院がベッドからいなくなった。夜遅くに 自衛隊病院が現れ、隊員を転院させていったという。


熱意と勢いのある女性医師が主人公の話。院内の看護師も感染したことで、 彼女は原因追究を推し進める。自衛隊病院の車まで止めて押し問答した 結果、内実を知る自衛隊病院の医師が彼女に真相を告げる。そして疫研に 送ったサンプルからも、それを裏付ける結果が現れる。


題名にあるリウーって何?というと、カミュの作品に出てくる医師、なのだろう。 つまり、今回の作品の中心となるものは、アレである。 何かはわかっているので、対処策は取った。が、そこで終わるのであれば、 著者が先に描いた「 Final Phase 」と同じである。今回は、耐性ができてしまった菌がいる、という最悪の 事態が待っている。それは、今回舞台となった病院、というか地域に問題があった。


ヨーロッパで起きた地獄が現代日本で再現されてしまうかもしれない、 というパンデミックものである。勿論、医術も情報も進化しており 宗教に毒されていない分、そんなことにはならないのかもしれない。 しかし現時点では医療関係者であり知識があり物分りも良い人物しか 出てきていない。そして病院は患者の死亡を止められない。 さて、どうなるのか。


このタイトル、この表紙では買いつづらいとは思うが、 これは必読の作品である。が、まずは著者の 「 Final Phase 」を読むことをオススメしたい。 それを読んだら、本作への期待度は更に上がることだろう。


【データ】
朱戸アオ (あかとあお)
リウーを待ちながら
【発行元/発売元】講談社 【レーベル】講談社 (2017/6/23) 【発行日】2017(平成29)年6月1日発行 ※電子版で購入
■評価→ A(絶品) ■続刊購入する?→★★★★★
■購入:
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富士山麓の美しい街・S県横走市──。駐屯している自衛隊員が吐血し昏倒。同じ症状の患者が相次いで死亡した。病院には患者が詰めかけ、抗生剤は不足、病因はわからないまま事態は悪化の一途をたどる。それが、内科医・玉木涼穂が彷徨うことになる「煉獄」の入り口だった。生活感溢れる緻密な描写が絶望を増幅する。医療サスペンスの新星が描くアウトブレイク前夜!!


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