【オススメ】 中川海二/ROUTE END


ROUTE END 1 (ジャンプコミックス)

■【オススメ】「特殊清掃業」を描いた話は前例がないでもないが、 サスペンス・ミステリーの中に溶け込ませた本作は異色。

主人公は10歳で母親を自殺で亡くした。「十歳の俺は母の生きる理由にはなれなかった」 という思いと後悔と怒りで、彼は生きてきた。死にたい、でも自殺はしない。 そんな彼が生きる理由として縋ったのが、死体の出た部屋の後処理を行う特殊清掃業 のしごとだった。


主人公が現場処理をするなか、近隣では連続殺人事件が起こっていた。 死体をバラバラにして「END」と描く手口。それは世間で報道もされており、 その現場の処理は彼の会社でも行っていた。


そして主人公が世話になってきた尊敬すべき社長が、 この事件に関与しているような展開となり、 両者が交わっていく。事件に関わる 刑事は弟を亡くしたばかりで、その亡くした弟の部屋を処理したのは主人公の会社で、 主人公はそこに住んでいる、といった設定もあり、 絡み合った構成は読み手を作品世界に引き込んでいく。


特殊清掃や遺品処理では 【オススメ】 富田安紀子/Re:Life−リライフ− 【オススメ】 きたがわ翔/デス・スウィーパー といった作品があったが、特殊な職業に寄り添って展開しているこの2作も佳作だが、本作の場合は職業を描くことだけに重点があるわけではない。そこが一歩先を行くところで本作の志は高く、それがスピーディに綴られていくので読みても一気に引っ張られていく。


早い展開はただし痛し痒しで、一巻巻末では怒涛の展開に。それは早くないか? じっくり読ませてくれる作品かと思っていたのだが、これは短期集中決戦型なのか。


著者は中川貴賀氏の別名義であるらしい。「 リメインバッド 」は素晴らしい作品でした。お読みの方は本作も気にいると思うので是非。 ところで アマゾンで一件低評価なレビューを見たが、単行本読めば意味がわかるはずのそれこそ「思慮に浅く非常識」な意見だったのでああいうのが掲載されるのが集合知の弱点といいましょうか。


【データ】
中川海二 (なかがわかいじ)
ROUTE END(ルートエンド)
【発行元/発売元】集英社 (2017/6/2) 【レーベル】ジャンプコミックス 【発行日】2017(平成29)年発行 ※電子版で購入
■評価→ A(絶品) ■続刊購入する?→★★★★★
■購入:
amazon→ ROUTE END 1 (ジャンプコミックス)
人の死が日常的となる職業、“特殊清掃業"を生業とする青年・春野。彼が近隣で続発する連続猟奇殺人事件、「END事件」に足を踏み入れて…。生と死の在り方を問うサイコ・サスペンス開幕!!


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