映画『最高の人生の見つけ方』

映画観賞記事です。

映画『ミックス。』


●映画『ミックス。

おセンチな部分が邪魔、もっとスピーディに展開できたら傑作になっただろうに、などいろいろ言いたいことはあるが、面白かった。基本的には、ガッキーかわいい、瑛太かっこいい、という映画。

母親に強制され卓球をやってきて、そこそこの実績は残すもそこそこ止まりだった少女は母の死とともに卓球にサヨウナラ。それから15年、不器用ながら普通にOLをやってきたが、昔から気になっていた天才卓球少年が人気選手として自社の卓球部に所属。彼とおつきあいすることになり、幸せの絶頂だったが、彼は新たに入部した女子選手とミックスダブルスを組むことになり、それはプライベートにも波及して、そこでヒロインは退職して実家に戻る。

そんな彼女のリベンジ話、だが周囲の人物も含めた皆の再生の話になっている。きちんと向き合えば報われる、という話なのは良いと思う。割り切れ、振り切れ、というメッセージは、正しい。

上手だな、と思ったのはツイスト部分。障害のように見えて実は障害ではない、という設定はハーレクイン同様。勘違いをうまく組み込み、観客にバラすことなくディレクションしていったのは、それが物語の本筋ではないからこそ許された手法で、話の筋を複数走らせたゆえのメリットだろう。


『SING シング(日本語吹替版) 』@TOHOシネマズ日本橋

● 『 SING シング (日本語吹替版) 』@TOHOシネマズ日本橋
話としては・・・事をなすには、諦めは悪いほうがよく、図々しいやつが勝ち。 そして、いいパトロンを手に入れるのが大事、ということですかね。 しかし、パトロンを、主人公が劇場好きになった原体験となる 初めて見て感動したステージで主役を張っていた人に設定したのは 素晴らしかった。本当に尊敬している相手を口説く、っていうのがいいですね。
吹き替えで見たのは、キャスト豪華だし真綾さんだし、というのもありましたが、 違和感なく楽しめました。ただ、音楽ものは元版の歌に引きずられるので、 字幕版のほうがいいのかな。
動物の擬人化ものアニメ、という手法はドラマ作りもアクションも自由自在で、 これみると、人間使った実写ドラマは廃れればいいんじゃないかな、 と思いました。
物語は全般に話を端折り気味で、シーンをパッチワークして 作った感じの内容でしたが、それでも、というか、それゆえ、というか、 最後のショーは素晴らしいエンタテインメントでした。
しかし、続編作るそうだけど、続編ってどうすんのよ。 劇場が復活しないで終わるなら、みんなでキャラバンするって手かなと 思ったけれど。

『 この世界の片隅に 』


●映画『 この世界の片隅に
・話題になっている映画で、 東京テアトル もこれで潤うようなら何より。とはいえ漫画は読了済。 上巻は本サイトでも紹介しております(→ 【オススメ】 こうの史代/この世界の片隅に ) が、そうした作品をわざわざ映画で見る必要があるだろうか、と考えつつ、たまたま時間があったので見ることに。それが シネマ・メディアージュでありスクリーンの汚れが気になって冒頭は没頭できなかった のだけれど、良い映画でした。
・基本的に漫画通り。漫画だと若干わかりづらい時系列を整理して、枝葉末節を剪定しているので非常に見やすい。夫婦生活などお色気絡みな部分は削除し、かわりに食に関することをフィーチャーしているので皆見やすいし紹介しやすいし子供にも薦められる作品に仕上げられている。これなら学校でも上映しやすい。
・戦時を描きながら主人公がぼやっとしているという設定はユニーク。ただし、ぼんやりしたままではいられない。でもそれは戦争中だから、というよりも、彼女が大人になるから、だろう。とはいえ戦争の悲劇は描かれる。ヒロインも翻弄される。戦争ものは登場人物と戦争との距離感をどこに定めるかが難しいのだが、どっぷり真ん真ん中の被害者や、実は自身は無傷な傍観者、という極端な設定がありがちなところ、本作はそうではないところにヒロインを置いている。
・が、そうした設定は原作どおり。原作の雰囲気を活かし、原作を壊さず、かつ時間軸を整えて映画にした腕は賞賛するものの、だったら別に原作読めばいいんじゃないかと思ってしまう。

シネマ・メディアージュ_20170130

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●シネマ・メディアージュで映画を見る。開館時以来だろうか。窓口でチケットを買うがシネマイレージ対象外で溜まっていたポイントも使えず。支払いもクレジットカードはダメで現金のみ。入ったスクリーン11では映画を見ていると、スクリーンの汚れなのか映写窓の汚れなのか中央右寄りに気になる黒さが・・・。めでたく間もなく閉館になるということで何よりである。
追記:なんと映画館自体は存続。ユナイテッド・シネマ アクアシティお台場に変わったのだった。湾岸戦略として正しい。豊洲は近いしね。

『君の名は。』

●まさかのももクリ落選。家人は当たったので一日は確保ももう一日どうするか検討中。そんななか欅坂の公演が発表になりだったらそっちに・・・という気持ちも。まぁそっちも当たらなそうではありますが。運営はほんと考えたほうがいいよ、ファン逃げるよ。新規獲得より顧客維持が商売の基本。

●そんなことより今更ですが見ました映画『君の名は。』いや今更じゃないな、興収180億円超えて12週目に入ったが前週も1位なので。そんなにヒットするような作品なのか、というと、なるほど、名作。この作品のギミックはファンタジックすぎるのでこれが理解されるのは柔軟性の高い日本人ならではかもしれない。時間軸のズレとタイムパラドックス、名前を覚えていられないというギミックを許容しなければいけないので。

名作である理由。物語を細かくパーツにわけて構成したこと。これは、実は日本のドラマ制作ではあんまり見ない。韓国が良くも悪くも得意。前半の話は男女入れ替わりのとりかえばや物語。だけれど序盤ではヒロインに描写を寄せてそういう話であることを明かすまで丁寧に描く。テレビアニメ初回のエンディングかと思うようなまとめをしておさらい。

では取替が本筋かと思うと、中盤でいったん話が止まる。そこで男の子に描写の力点がうつり、彼が彼女を探そうとする。そこで、観客が知らない、そして男子自身も殆ど印象に残っていなかった事実が提出される。まさかの時間軸のずれ。そして自然災害。災害は災害であるのだが、この自然災害のチョイスにはセンスを感じた。災害も含めて、彗星、たそかれ、神社の御神体、と伏線はすべて散りばめられている。それを、普通の映画だと「説明しないとわからないよ!」などというバカがいるので色々語ってしまうのだが、本作はそういう野暮な真似はしない。2時間ドラマ病に罹患していなかったところも名作の所以だろう。

ヒットした理由は別。まず、総合芸術であるのがよくわかっていること。音楽との溶け込み方。主題歌だけを依頼する、という作り方をしていてはこうはならない。最近だと『バクマン。』と同じ正解。一方で本作は原作がない。いまは、知らないものが一気に立ち上がる、というのがヒットの要因。私だけが知っている、感が重要。

さらに。東京の描写がリアル。店名はさすがに別だったが、固有名詞がそのまま出てくるのは素晴らしい。これが結構な肝だと思う。架空の東京ではない。これ、JRの協力得られなかったら別の私鉄でやろうと思ってたら凄いと思う。そもそもこれ東京ならどこでも成立する話なので、タイアップや協力ありきで舞台選べるものね。Z会とか、出す必然性はないんだから。私はプロダクト・プレイスメント万歳派です。で、一方で、田舎の閉塞感も描き出す。重要なのは、ココだろう。

たいていの作品は、地方か都市か、田舎か東京か、どちらかしか描かない。出身地の問題もあるが、それに加えて、普通はどっちかしか舞台にできないからである。本作はそれを、入れ替わりをテーマに一挙両得を狙った。おかげで、地方の子は共感しつつ、東京の子もこれあそこじゃん!などと言いながら見ることができたわけである。残酷なのはヒロインは地元を出たがっており、しかも未来の東京にヒロインと同級生がいるわけで、結婚式の打ち合わせったって双方とも地元に残っているなら地元で話せばいいわけだから、地元出てるわけだよね。まぁ町が崩壊して住めなくなっているという理由はありそうだけど。

田舎の大変さと、マスコミのクズさかげんを、いい感じに切り捨てていて、これも時代の空気にあっていたのでは。→コミカライズも映画に忠実、よく出来てました。: 【オススメ】 新海誠、琴音らんまる/君の名は。

『インサイド・ヘッド』を見ました。

そういや、映画『インサイド・ヘッド』を見ていたのでした。


【映画】『駆込み女と駆出し男』面白かったです。

・評判通りの佳作でした。公開から日数重ねてますが新宿ピカデリーは満席でした。

公式サイト→ 『駆込み女と駆出し男』

原作本→ 東慶寺花だより

・舞台は江戸時代の末期近く、天保の改革の頃。つまり財政改革絡みで江戸の瀟洒な文化が締め付けられている時期である。それはその前の賄賂横行で乱れた時代の反動ではあるのだけれど、そのあたりは描かれない。鳥居耀蔵はひたすら悪人として描写される。

・そんな時代を背景に描かれるのは、妻女が夫と別れるための縁切り寺であった東慶寺。ここに駆け込む女として、ひとりは唐物問屋の妾、と言いつつ店を切り盛りもする者。もうひとりは刀鍛冶か鉄煉りか、腕が良いのでたたら場で自ら働きそれ故か夫が家に戻らず放蕩三昧である者。このふたりがまず話を牽引する。加えて駆け出し男というのは戯作者希望で医者見習いでもあり、東慶寺に救いを求める女たちの身柄を預かる宿の親戚筋である人物。戯作者としても医者としても駆け出しである。

・この三者の行く末やいかに、というのが大きな軸となる物語、であるのだが、そこに加えて、すでに東慶寺にいる女たち、後からやってくる武家で道場の娘、さらに大きな話として天保の改革絡みで水野−鳥居ラインで幕府ゆかりの東慶寺を潰そうとする陰謀も現れる。

・東慶寺という舞台が、別れたい妻の駆け込み寺で、そこにたどり着くことができるかどうかという第一の関門、さらには夫側との敵対、最大で2年間のお勤めという期限があり、これだけで物語にできる設定を持っている。そんな立場の女が複数いるのだから、話は重層的になる。そのうえで東慶寺自体の立場も微妙なものに置かれるというのだから、盛りだくさんだ。

・この映画が面白いのは、クライマックスの置き方である。普通は物語としてより重要視されている人物のエピソードを持ってきそうなものだが、その話が最後なのか、と少々驚く。まぁ時系列からすればそうだろうと納得はするのだが。他にフィーチャーされるエピソードがある一方で、割にあっさりと流されるものもある。東慶寺の立ち位置の話がそうで、巨大な権力との戦いは本筋としてセットされても良さそうなものだが、この結末は肩透かし。とはいえこれも設定が1841年で、それから史実を知っていれば2年後は水野忠邦失脚がありその翌年は老中再任に伴う鳥居耀蔵の失脚と、仕掛けた側がそれどころではなくなることを思えば理解はできる。できるのだが、さらりと流しすぎていて唖然とした。その辺は不親切なつくりっちゃあそうなんだけれど、予定調和な話にならないという点ではやはり正しい作りなのだろう。

・雰囲気、キャストは素晴らしく、作品世界に引きこまれつつ、見終わった後も気分のよい映画でありました。


『セッション』を見ました。


セッション

映画のレビューする前にマンガをせいやと言われそうですが、今夜の更新はこちらのみとなりますあしからず。しかも深夜2時にアップしてどうすんねんって話ですが・・・。



緊張感あるが大味な一品。矛盾している?いや、タイトな人間関係は緊張感あり、巧い。一方で、そんな教育者がいるか、そんな指導があるか、そんなチャンスが来るか、というツッコミポイントも多彩。その両者を表現すると、そういう矛盾した文章になってしまう。つまり、題材の設定がおかしい映画なのである。バンドの話、であるとすれば、バンドはチームのハズなので、しかしそのバンドのなかで他を蹴落とすような物語を展開されては、話としてまとまるはずがない。だが本作はそこに全く触れることなく話が終わる。なので、傑作ではない。



『バードマン』もそうだったが、ジャズ・ドラムは映画を盛り立てる。その意味でビッグバンドジャズを題材にしたのは良いのだけれど、反面、この映画で描きたかったことは音楽ではない。寧ろ宗教や信仰の隠喩として教育を舞台にしたのであって、洗脳と解脱がテーマである。自分の理想を押し付け締め付ける指導者に対して、その教えに従わなければいけないと思いつつも父の教えも浸透している主人公は、もがいた挙句、自分を出して抵抗する。しかし本来彼がすべきことは自分の道を進むことであり、洗脳下のなか他の生徒とは違う反応をするものの、リアクションにすぎないままで一旦は挫折する。しかし、最終的には敷かれたレールから外れ自分の道を行くことで、洗脳を振り切る。そんなガチンコ勝負の話なのである。



が、題材とお膳立てが悪かった。なので菊地成孔と町山智浩が論争する事態になった。まぁこれがギャガの仕込みだったら感心するが。もしそうなら皆墓の中まで持って行くように。実際、映画館はキャパ小さめとはいえ満席ソールドアウトで、日比谷みゆき座の日曜最終回19時30分が早々に売り切れというのは凄いことなのだ。銀座の日曜最終は鬼門のハズなので。



ちなみに論争は意味があると思うけれど、その前に根本的に知っておくべきことがある。まず、映画では題材となっている分野をまっとうに描写できていることなど殆どない。とはいえそれをプロの目で指摘するのは大事。公開前にネガティブな情報を出すのは営業妨害かもしれないが消費者には親切かもしれない。一方でポジティブな情報を出すのは営業支援にはなるが消費者にとっては騙しに等しい場合もある。影響を与えることが罪なら、評論家は皆罪人だ。ポジティブな評価はよくてネガティブな評価はダメ、というのではダブルスタンダードである。まぁそもそも日本で公開前でも本国では既に公開済なわけで、そういうもののレビューをしてはイケナイというのは、フィギュアスケートの結果が既に出ているのに地上波テレビの放送まだなので報道差し止める、みたいな、お前の勝手な都合にすぎないよね、という話ではある。その辺突き詰めると日本でも同時公開を、みたいなことを言い出す人がいるけれど、そうではなくて、タイムラグのある日本では良作が良い思いを出来る、という図式なので、本来良い洋画ばかりが優遇されるはずなんですけどね。



なお菊地氏・町山氏に共通するのは、メディアに出ているくせにアウトサイダーを気取っていることの居心地の悪さである。桑田佳祐氏が叩かれた事態にも似ているけれど、反体制派と思っているらしいあなた方は最早権威であって立場的に叩かれる側の人なのにそのことへの自覚がない、ということだろうか。大衆と同じと擦り寄る時点でポピュリズムであって、ロックでもジャズでもパンクでもないんだけれど。そもそも商売として5年10年成り立っている人が、影響力ないとか権威がないとかいうのは、業界の上だけを見ている証拠で、消費者見てないんだなぁ、と思う次第である。別にそれで批判したいとか非難したいとかではないんだけれど。寧ろ大変だな、という印象が強い。



ところで映画に戻ると、教師はヘミングウェイみたいなものかなぁ、と思って見ていた。あの人のマッチョ思想は、自分の中の女性的な要素を消したいがため、という話だったわけで、他人をゲイだなんだとくさす奴が一番ゲイ臭い。人のことバカっていうやつがバカなんです、ってのは実は真実をついているのだ。

映画『セッション』公式サイト


『攻殻機動隊ARISE』イッキ見

●TOHOシネマズ新宿に「攻殻機動隊ARISE 1〜4」を見に行く。理由は3つ、1つは1しか見ていなかったARISEをまとめて見ることのできる機会だから、2つめは坂本真綾が登壇するおまけつきなので、3つめは新オープンの歌舞伎町のTOHOシネマズを訪れるチャンスだったから。ただ一点、終了が24時30分予定と中途半端な点は気になっており、その時間設定もあってか客の入りは満杯とはいかない。

ゴジラが頭上にいるTOHOシネマズは、勝手な想像では歌舞伎町の噴水広場の方に入り口があるものだとばかり思っていたが、新宿から歌舞伎町一番街のゲートくぐってまっすぐ進んだ、その目の前にあった。坂本真綾さんは来週さいたまスーパアリーナ公演あり。日本のシンガーのなかで一番声が好きかもしれない。ARISEシリーズは9課発足、というか9課自体はあるのだけれど草薙素子のチームができるまでの話。結構、素子の脇が甘いというか隙があるな、というのと、絵が一部ギクシャクするんだよなぁ、というのを除けば、コーネリアスの音楽も相まって非常に格好良く、しかも話数重ねるにつれてオープニングとエンディングの練度が増していくという素晴らしさ。「攻殻機動隊」シリーズの世界観をわかりやすく提示してくれていると思います。

ところで終映は20分ほど早くなったので、深夜バスを考えるまでもなく終電よりも前に帰ることができました、というのはありがたかった。


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