館ノ川駿/魔王さまの抜き打ちダンジョン視察


魔王さまの抜き打ちダンジョン視察(1) (週刊少年マガジンコミックス)

■魔王もの×ダンジョンものコメディ。読みやすく面白い。

魔物系ファンタジー、それも魔王の側を描くもの。 世代交代で新たな魔王が誕生、そこにお世話係として応募した 下級魔族との交流を描くコメディ。


基本はこの上司と部下ふたりで展開していく。 そして上司にあたる魔王が、さすが魔王という心の広さ、 大物さ、ポジティブさかげんで素晴らしい。 そうした人物ゆえ、実は話の転がしようが難しい。 魔王当人が何かをする、という方向では動きづらい。


そこで、エピソードを転がすにあたり、ダンジョン視察、 という要素を取り込んだのがポイント。ダンジョンものも 良くあるが、本作の場合は視察なのであちこちの 多種多様なダンジョンを用意する必要がある。それを きちんと満たし、色々なダンジョンを見せていくことで作品の 世界観を示していくのは見事。


炎龍との関係などダンジョン視察を通じて提示する世界が広がっていく のは上手な設計だと思う。


【データ】
館ノ川駿
魔王さまの抜き打ちダンジョン視察
【発行元/発売元】 講談社 (2019/5/9) ※電子版で購入
■評価→ C(標準) ■続刊購入する?→★★★
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落とし穴に…落ちる! 飛んでくる矢も華麗に…顔面的中! ダンジョンの罠にひっかかりまくる魔王を見て、下級悪魔・ヨユヤは思っていた。「この人、本当に魔王さまなのかな……?」 天然魔王×下級悪魔でおくるダンジョン視察コメディ、開幕!!


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ヨシノサツキ/ヨシノズイカラ


ヨシノズイカラ(1) (ガンガンコミックス)

■田舎離島の少年たちを描く話、かと思いきや、 入れ子構造のメタ作品に。

田舎の離島に暮らす4人の少年たちの話。 卒業した分校の小学校は取り壊され、 自分たちの進んだ島の高校も閉校が決まっており 自分たちが最後の卒業生となる予定。 そんななか、一人の少年は小学校時代の 先生とずっと文通を続けてきた。 だがここ3通、先生からの返事がないという。


そんなエピソードから、皆が先生のことを思い返す。 そこに他の島民も加わってくるが、そこで話される 先生のエピソードは随分とイメージが異なり、 しかしぼんやりとしていた先生の姿が徐々に 鮮明に思い出されてくるのだった。


といった離島の青春ものが展開されるのか、 と思っていると、そこで話が急転、 作者が突然現れる。この話が漫画家により 描かれた作品であると明らかになり、 その後は漫画家自身の話にシフトしていく。


ばらかもん をヒットさせた 著者本人の話とも思わせるような、メタ作品。 ファンタジーを描こうとした著者だが、 日常を漫画にしましょう、と提案した編集者に導かれ、 いままでとは違う作品を生み出していく。 それにしてもアシスタント的存在の人物がすごい。 とはいえ、田舎で情報もないなか、なんだかんだで 漫画家になった主人公もすごいのだが。


内幕をネタにしつつもフィクション仕立てにしている ところは面白い。ただこの手の作品はネタの取捨選択、 どこまで事実に寄せるか虚構に寄せるかの判断が寧ろ 難しかろうと思うが…。


【データ】
ヨシノサツキ
ヨシノズイカラ
【発行元/発売元】 スクウェア・エニックス (2019/5/11) ※電子版で購入
■評価→ C(標準) ■続刊購入する?→★★★
■購入:
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どうにか生活できるほどの原稿料をもらいながら漫画家生活10年目を迎えた遠野成彦(32)。何本目かの連載作品がついに打ち切りになり、あとがない成彦に編集者が提案してきたのは、生まれ育った島の日常を描くことだった。こだわって描いてきたファンタジーとは真逆のジャンルに、成彦は反発しながらも挑戦することになるのだが…? 「ばらかもん」ヨシノサツキ待望の最新作!


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【オススメ】 ヨシノサツキ/ばらかもん
ヨシノサツキ/聖剣伝説 PRINCESS of MANA

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メノタ/奥さまはドードー鳥


奥さまはドードー鳥 (クロフネコミックス)

■題名どおり、ドードー鳥と結婚した 旦那さんの話。ワンアイディアの出落ち設定だが、 そのナンセンスな設定を掘り下げたところに可愛らしさがある。 とことんやると活路が生まれる好例。

人と鳥が併存する世界の話。鳥は普通に言葉を話す。 互いをパートナーに選べ、街は大きな森のなかにある時代。 天使が伴侶という人もいる。主人公も、奥さんは ドードー鳥であるという。…絶滅種では…。


プリンも食うしチキンも食う、と。食事も作ってくれる。 いや、どうやって?みたいなこともあるのだが、 そこはそれとして。話を先に展開したエピソードもあるが、 寧ろ本作の面白さは過去にさかのぼって描くものにある。


人と鳥が結婚して仲良く暮らしているエピソード、 というのは出落ち感漂うだけに、 過去に戻ってふたりの出会いの場面を描く話は なるほどという納得感があった。 無茶な内容ほど、掘り下げたほうが面白みが出る。


可愛らしい一品。2017年作品ですが著者の新作( 果ての星通信 ) が 面白かったのであわせてご紹介。


【データ】
メノタ
奥さまはドードー鳥
【発行元/発売元】 リブレ (2017/3/23) ※電子版で購入
■評価→ C(標準)
■購入:
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私・高橋夏彦の奥さんは、ドードー鳥。そんな妻・ももねちゃん(19才)との毎日を描いたほっこり系ラブコメディ。Twitter&pixivでファン続出のももねちゃんが大量描き下ろしを加えてコミックスに! この物語は、人間と鳥が普通にカップルになれちゃうちょっと不思議な世界の、ごく普通の新婚さんのお話です。


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【オススメ】 メノタ/果ての星通信

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多田由美/レッド・ベルベット


レッド・ベルベット(1) (ワイドKC)

■親や環境に左右される少年の話を、アメリカナイズされた舞台 で描く。映画を見ているかのような流れる構成は見事。

まだ幼い少年の母が亡くなる場面から話が始まる。父は母にまつわるものをすべて封印してしまう。一方で少年は母のケーキのレシピを探し求める。幼馴染の隣家の少年は、悪い連中の窃盗の手引きに使われている。母親は入院中で父親との仲は険悪。ただしそれが双方を思うがゆえの親子の葛藤、歪みでもある。


親子の関係がこじれるなか、治安がさして良くない環境に少年たちが左右される悲劇。それをアメリカ舞台で描く話。80年代から90年代にオシャレとして流行った、描く話は別にオシャレでもなんでもないのだが纏った空気感は確かにオシャレに見えた作品を今あらためて読むような感じ。こだわりのある題材で十年一日な作品を描くことは別に悪いことと思わない。とはいえ新しさは感じないが、古臭さを覚えることもないので別に良いのだろう。


映画のカット割のように一コマづつカメラワークが変わる構成は、流れができて読んでいて心地よい。テクニックとしては申し分なく、一方で話がどうしても明るくはない。あとがきを読めばそれはパーソナルでプライベートなことに表現したいことがあるからとわかる。あとは読者がそれを受け入れるかどうか。環境から抜け出せない子供の話、というのは切実な問題ではあるのだけれど、それをフィクションとして、漫画として読みたいかどうかはまた別の話。


【データ】
多田由美
レッド・ベルベット
【発行元/発売元】 講談社 (2019/4/23) ※電子版で購入
■評価→ C(標準) ■続刊購入する?→★★★
■購入:
amazon→ レッド・ベルベット(1) (ワイドKC)
多田由美史上最長の連載作、待望の単行本化!亡き母が残したケーキ店のレシピを集めるアール。窃盗団と関わり、抜け出すことのできないランディ。ロサンゼルスを舞台に、問題を抱えながら支え合い、明日に希望を求める二人。きっとなんとかなるよ。


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士郎正宗、青心社、片理誠、たくま朋正/BLACK MAGIC GHOST DRIVE


BLACK MAGIC GHOST DRIVE 1 (集英社ホームコミックス)

■アイディアのあるサイバーパンク設定だが 色々読みづらい。キャッチーだけど雑な リブートもの。

近未来設定。ハードも進展している時代。 ヒロインは致命的な病気にかかっていたが医療用 ナノマシンで救われる。ただしその手術は 想定通りのものではなく主治医だった父は以来失踪。 ヒロイン自身も電子回路にアクセスできるという 特質を持ってしまった。 この特殊な能力を知る政府は彼女をマークしていたが、 別の組織も彼女を狙って荒っぽいアプローチをかけてくる。


必要な設定をどどんと提示して、で、そういうことなので、 と話を転がしていくスタイル。説明されないよりは親切だが、 背景の提示の仕方としてはスマートではない。 絵も魅力的なのかあるいは見づらいのか雑なのか、 SFは本来、読者にとって現実でないもの、理解しがたいものを 提示するものなので、見やすい描写とするに越したことはないと 思うのだが。


擬態ありサイバーパンクもの、今となっては別に目新しさはなく、 その点でキャラクターで見せていく話として生まれかえるほか ない。サイバー世界に潜りつつ、アクション展開も付け加えたのは 読みやすい気もするが、話が進めば逆に厄介になるような。


【データ】
原作=士郎正宗、原作協力=青心社、設定協力=片理誠、作画=たくま朋正
BLACK MAGIC GHOST DRIVE
【発行元/発売元】 集英社 (2019/4/19) ※電子版で購入
■評価→ C(標準) ■続刊購入する?→★★
■購入:
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西暦2100年――ごく普通の高校2年・結衣坂梓はかつての医療事故で脳をナノマシンに汚染され、それ以降「様々な電子回路に瞬時にアクセスできる」という特殊な能力を有していた。 白昼の学園を突如襲うテロリスト。身辺を内偵していた警視庁特務課の助けを得て逃げる梓の前に、自律人型戦車M-66が立ち塞がる!


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たくま朋正/コードギアス ナイトメア・オブ・ナナリー
たくま朋正/FRAME SABER

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村田椰融/妻、小学生になる。


妻、小学生になる。 1巻 (芳文社コミックス)

■記憶を持ったまま転生した小学生が、 元妻、元母として夫と娘の前に現れる。

男やもめの中年の家、同居の二十代の娘は在宅ワーク、 父の買ってきたコンビニ弁当をふたりで食べる生活。 そこに玄関のチャイムを鳴らして訪れたのは 見知らぬ小学生の女の子。しかし彼女は「ただいま」と言った。


彼女は、亡くなった男の妻、娘の母、の生まれ変わり。 前世の記憶が戻ったのだという。 生活が気になりいろいろ助言しにきたが、 本当は見ることができたかったはずの姿を見ることができて 嬉しい、と。そうして彼女はちょくちょく、元家族のもとを訪れることになる。


そうした転生ものであり疑似家族ものでもあるコメディ。 元夫はすんなり受け入れてしまうところが凄い。何者だこの人…。 娘も就職活動を始め、夫も職場での態度が明るくなるなど、 家族環境は改善。夫も娘も飲み込みが早い分、展開は早いが、 その分この後どうするの感は漂う。


夫は会社で若い女子に興味を持たれており、その延長線で 元妻との関係も疑われる。そこは元妻が機転をきかすが、 社会的に危うい状況であることに変わりはない。 が、話はそこから元妻の現在の状況、小学生としての生活に 話がシフト、学校での風景から、現在の家庭に 焦点が当たったところで巻またぎ。 なるほど、現実的な問題にフォーカスしていくのか、 と感心した。とはいえこの設定は出口がない、というか 着地が限られる。ある種出落ちな話なわけだが、 正直、この後どうするんだろう。


【データ】
村田椰融
妻、小学生になる。
【発行元/発売元】 芳文社 (2019/4/16) ※電子版で購入
■評価→ C(標準) ■続刊購入する?→★★
■購入:
amazon→ 妻、小学生になる。 1巻 (芳文社コミックス)
10年前、妻を亡くした新島圭介はずっと失意の中にいた。だがある朝、小学生の女の子が、自分は他界した妻だと言ってやってくる。こうして、小学生の姿をした妻との人生が再び動き始めた!最強の愛妻家と小学生妻(中身はアラフォー)の究極の純愛!!描き下ろしマンガ「在りし日の貴恵と圭介」を収録!


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西荻弓絵、飛松良輔/天を射る


天を射る (1) (ビッグコミックス)

■江戸時代舞台に貧乏武家の三男坊が弓術にすべてを懸ける。

京都の蓮華王院三十三間堂、 矢を射通す堂射、通し矢で天下惣一、記録達成に 懸ける男の話。


江戸時代、天下泰平の世の中。 主人公は貧乏武家の三男坊。 長男は弓も剣も優秀で藩の武術指南役への推挙も噂され、 次男は頭脳明晰で藩校の師範代を務めている。 そんな中、主人公も弓の道で天下を取りたいと夢を見る。


同じく三男坊の身の幼馴染が弓と矢を作り、 それを使って彼は名を上げようとする。 たまたま暴走した牛を止めようとした際に 通りがかったお武家様が藩の弓術指南役であり、 主人公はその才と度胸を買われ内弟子にスカウトされる。 そこで彼は、正規の手段で幼馴染とともに入門したいと 条件をつけるのだった。


星野勘左衛門、星野茂則をモデルとした物語。つまり主人公は 実在しており、なので史実から彼が 天下一の大記録を樹立することはわかっている。そうした上で 読む話であり、構成や演出を楽しむ話。 友情をベースとした話は読む限りではいったん小休止、 修行ベースの話で展開していくのが一巻の後半。 そうした展開、構成は確かに読ませる。読ませるのだが、 このテーマ設定で、弓道勝負以外の何かが果たしてあるのか。 その枠の中での最善の作とはなるだろうが、 それを読みたいかというと、正直疑問符は残る。


【データ】
原作=西荻弓絵、漫画=飛松良輔
天を射る
【発行元/発売元】 小学館 (2019/4/26) ※電子版で購入
■評価→ C(標準) ■続刊購入する?→★★★
■購入:
amazon→天を射る (1) (ビッグコミックス)
“江戸のオリンピック”で天下一を射止めよ
京都「三十三間堂」本堂軒下。 全長約120mを端から端まで、矢を何本通せるか―― 「通し矢」は藩と藩の面子を懸けた“江戸のオリンピック”。 これは「堂射(どうしゃ)」とも呼ばれた弓術競技で天下一を目指した若者達の青春の物語――
主人公の勘左(星野勘左衛門:ほしのかんざえもん)は尾張藩貧乏武士の三男坊。 長兄・次兄に比べて取り柄のない勘左は、 「堂射で天下一を成し遂げれば立身出世も思いのまま」 と言われても、「自分の夢」とは無縁だと思っていた。 ある日、「運命の出会い」が起こるまでは――
勝てば天下無双、負ければ切腹覚悟。 「志と勇気」の物語が幕を開ける!
テレビドラマ『SPEC』『ダブル・キッチン』の大ヒット脚本家、西荻弓絵氏×迫力満点の画力俊英、飛松良輔氏の強力タッグでおくる成り上がり譚!


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