田川ミ/こりせんまん


こりせんまん 1 (アヴァルスコミックス)

■妖狐が仕方なく化狸を養育する話。 一話が唐突だが設定を飲み込めば面白い。

獣の中には稀に特別な力を持った者が生まれる。 そうした化獣の話。かつて強い狐が悪行が過ぎ、 日の神は狼をけしかけ成敗させた。 そして眠らせること三百年。再び目覚めさせたのだが、 姿形は小さくなり、魔力は取り去られ、神の 言いつけに背こうとすると古傷が疼きだすという始末。 さらには、幼い化狸の子を立派な神の眷属に 育て上げよ、との使命を与えられるのだった。


ということで、神だなんだと話はあるが、 基本は狐の子狸子育て話。疑似家族もののようなもの。 人間に化ける場面はあれど、動物しか出てこない。 狐自身の力は失われたが、狸の力は強大で狸が 变化すると一緒に变化してしまうという状況。


力を持つがゆえの不幸と、その力をどう使うか、 の話。そこに事件が舞い込み勉強しつつ解決する というエピソードの重ね方。話としては 実はそう珍しくもない内容なのだが、これを動物だけで 見せるというのは面白い。そういえば狸ってのは 世界的には珍獣の枠に入るめずらしい生き物 らしいですね。


【データ】
田川ミ
こりせんまん
【発行元/発売元】マッグガーデン (2019/3/14) ※電子版で購入
■評価→ B(佳作) ■続刊購入する?→★★★
■購入:
amazon→ こりせんまん 1 (アヴァルスコミックス)
悪キツネ、子ダヌキを養育す。 今は昔、世間を騒がせた悪名高いキツネ。そのキツネに突き付けられた解放の条件は、強大な力ゆえに孤立した子ダヌキの養育で…。


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早川光、pikomaro、木村宗慎/茶の湯のじかん


茶の湯のじかん 1 (ヤングジャンプコミックス)

■茶道初心者入門漫画。学習まんがの新しい形か。

ヒロインは30歳、前職は人間関係から退職、 いまは契約社員として働いている。 それまでは寮生活だったこともあり シェアハウス暮らしを選んだが、 女性の住人は一人だけだった。 そこに、新たな入居者がやってくるとの連絡が入る。


という設定だが、話は題名通り、茶の湯の話。 新たな入居者とは事前に接近遭遇しており、 日本文化を研究しているフランス人留学生で 日本語も上手。そしてお茶に興味がある。 新しい生活や友達の欲しかったヒロインにとって、 彼女との時間は刺激になるのだった。


お茶と、和菓子とについて、身近なところから 話を始めつつ、専門家による初心者入門 クラスの授業をかいつまみながら話に取り込んでいく。 スクール形式だと同じ面子でカリキュラムに 沿って話が進むが、そうではない良いところ取り な構成は読みやすい。一方でさらっとではなく 大事なポイントはきちんとおさえているところは丁寧。 入門もの漫画の新しい形かな、と思う仕上がりになっている。


【データ】
原作=早川光、漫画=pikomaro、茶の湯監修=木村宗慎
茶の湯のじかん
【発行元/発売元】集英社 (2019/3/19) ※電子版で購入
■評価→ C(標準) ■続刊購入する?→★★★
■購入:
amazon→ 茶の湯のじかん 1 (ヤングジャンプコミックス)

【デジタル版限定!「ふんわりジャンプ」「ヤンジャン!」掲載時のカラーページを完全収録!!】人間関係のこじれから30歳にして転職し、契約社員として乾いた日々を過ごす茶々原水希。水希が暮らすシェアハウスに突然あらわれた、抹茶好きのフランス人・エマ。自らお茶を点てることもできる彼女の影響から、水希も少しずつ茶の世界に興味を持つようになっていく。実在のお店も多数登場! 深くて甘い、新感覚“茶の湯”コミック!! お茶と和菓子の魅力満載。


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星野めみ/すずなり動物ハウス


すずなり動物ハウス : 1 (ジュールコミックス)

■ペットホテルを舞台にした、古風で健気な話。 いまどき古臭いが、一周2周まわって逆に目新しいのかも。

22歳のヒロインは懸賞マニア。普段はめったに当たらないのだが、 たまたま応募したポニーが特賞で届いてしまう。 四畳半のアパート暮らしでは飼うわけにもいかず、必死に探したのが動物を預かってくれるというペットホテルだった。


そのペットホテル、すずなり動物ハウスを舞台にしたお話。 オーナーは喜寿の女性、ひ孫がおり、取扱業者は獣医の男性。 ヒロインは施設育ちで、22歳になったら自立しなければいけない、 というタイムリミットのある身。就職が決まらず焦っているが、 簿記1級の資格持ちで経理的センスは持ち合わせていた。 ということで、彼女はそこで働くことになる。


古風な人情派物語なのだが設定は良くも悪くも韓国ドラマなみに複雑。 ペットホテルの経営はもちろん思わしくない。ただしそこはヒロインの ウルトラCにより解消される。オーナーの家族はこのペットホテルを 作った孫夫婦が早死に。ひ孫にもエピソードあり。獣医にしても人里離れた場所にいる理由がある。


一方でエピソード的には動物を預ける側にもいろいろ理由が あるはずだが、そのあたりは一巻ではあまり描かれず。 その分預かる側のいろいろを描いているのでこれ以上は多牌だから適切な整理だろう。


そしてあとがきでは本編一切関係なく氷川きよしさんのことしか 書いてないところが素晴らしい。


【データ】
星野めみ
すずなり動物ハウス
【発行元/発売元】双葉社 (2019/3/18) ※電子版で購入
■評価→ C(標準) ■続刊購入する?→★★★
■購入:
amazon→ すずなり動物ハウス : 1 (ジュールコミックス)

『夢ホテル』の星野めみが描く【感動の動物マンガ】。懸賞マニアの山田すずは、ポニーを当てて困ってしまい、「すずなり動物ハウス」というペットホテルにやってきた。すずは、身寄りがなく就職もできずにいたが、オーナーの真行寺珠江の計らいで、経理として働かせてもらうことに。「すずなり」には他に、獣医の瀬戸一郎、珠江のひ孫・華子がいた。孤独だったすずは、周囲の温かさに触れ、少しずつ成長していくのだった。星野めみファン待望の最新作!!


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星野めみ/動物ER ワンコはワンコ
星野めみ/「花のや」でございます

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北岡朋/ウォーキング・キャット


ウォーキング・キャット : 1 (アクションコミックス)

■味のあるゾンビものだが、昨今ソンビものは溢れているからなぁ…。基本は猫を相棒とした終末股旅もの。

ゾンビのあふれる世界。そこで生き延びている青年が主人公。彼は ゾンビに襲われかかった猫を救ったところ懷かれる。


生き別れになった妻を探しつつ、安住の地を求める話。 なのだが情報がほぼ入らない環境だけに、俯瞰した話はあまりない。 猫を相手にしたバディもの、世紀末ロードムービー的色彩が強い。


話が交わろうとしつつ一巻でそういう形にまとめるか、という 一旦の収束を見せるが、展開急で読者として気持ちが ついていかない部分あり。さらに、話は終わっておらず続刊がある様子。雰囲気は味があるのだが、 ゾンビものは設定として随分とバリエーションが 開発されてしまったので、目新しく見せるのは難しく、このあとの展開は特にそうだろう。


【データ】
北岡朋 (きたおかとも)
ウォーキング・キャット
【発行元/発売元】双葉社 (2019/2/28) ※電子版で購入
■評価→ B(佳作) ■続刊購入する?→★★★
■購入:
amazon→ ウォーキング・キャット : 1 (アクションコミックス)
新しすぎる、「終末×猫」マンガ!!生ける屍が徘徊し始め、ぼくらの世界は終わりを迎えた――と思いきや、変わらないまま生きているヤツらもいる。そう、猫!!ひょんなことから、白猫・ユキを助けた男・八尋ジン。1人と1匹の旅は、どこへ向かっていくのか―…?大事なことは、猫が教えてくれる。


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矢島光/バトンの星


バトンの星 1 (ヤングジャンプコミックス)

■バトントワリング物語。面白くできていると思うのだけれど、 キャラクターがブレる人物を多くしたのは話の構成上向いているのかどうか。描きたいテーマはわかるが。

かつてバトンに打ち込んだが努力じゃ遺伝子に勝てないと観念したヒロイン。今は普通のOLをしているそろそろ三十路の彼女は、特になにもないプライベートの中で唯一、行きつけのサウナで女子大生たちから「主様」として崇められていた。恋愛経験がないからこそ適当なことを 言っているだけなのに。


…このサウナの主のエピソード、この話にいるのかな…本来ならそこをベースに話を回していきそうな要素なのだが、本作ではさしたる重みづけもなく、物語はタイトルどおり、バトントワリングの話に入っていく。バトンを持つ男子学生を見つけ、彼の練習演技に適切な指導をしたことで、高校生日本ナンバーワンである彼にコーチ役を指名される、という展開で、やっぱりサウナ話はいらんのだよな…。


バトンに関してはかなりしっかり。あとがきによると著者自身がバトントワリング経験者であり描きたい題材であったという。そこで、バトンの技と、それには素質が必要なこと、しかし一方でそうした大技ではない個性の即した特技を探し磨くことが重要なのではないかという考え、それを信じ来れなかったコーチ自身の後悔、と流石にテーマは深い。


一方で、キャラクターの描きかたが割と軽い。軽い、というか、ブレる。ぶれていないのはヒロインの同期でありバトン界のトップである男性だけ。この人物のキャラが立ちすぎており、それはどうなのか、特に一巻の段階では引っかかる。なので、一巻の時点で彼を出しすぎ。印象が全部持っていかれている。


わがままで傍若無人に見えた主人公の男子が案外素直だし、結構悩んでいるところは、丁寧に見えるがブレブレにも見える。絶対に欠かせない大技ができていない、ということに悩みがあるのはわかるが。まあ一番成長すべき人物なのでフラットキャラクターに設定するのはまずく、ラウンドキャラクターとするのは当然。ただ、この話はヒロインの話であるので、そうすると彼女の話をどう乗せていくのか、かが悩みどころ。ヒロインの成長譚とするのか、彼女の過去を男子に投影して果たせなかった道を進んでもらうだけなのか。しかし、ヒロインの成長譚とするのは荷が重くないか?


そして、バトン界で日本選手が上位に並ぶ、というのであれば、指導の形態はどうなっているのか。そもそも男子がアテにしていた指導者はどこへ?ある程度の学閥的なものはないのかしらん、そこにヒロインのようなブランクある人間が重宝される分野なの?など、頭に渦巻くものは多い。とはいえ、それらを丁寧に片付けると、単に題材だけが違い中身はよくあるスポーツもの作品に終わってしまう。なので、本作のような仕掛けをするほかないのもわかる。のだが、もやもやするのは、指導を受ける側はアクシデントで良いのだけれど、指導する側がアクシデントで引き受けることは普通ないからだろう。ちょっとチャレンジしすぎな題材だったように思う。


【データ】
矢島光
バトンの星
【発行元/発売元】集英社 (2019/2/19) ※電子版で購入
■評価→ C(標準) ■続刊購入する?→★★★
■購入:
amazon→バトンの星 1 (ヤングジャンプコミックス)

28歳OL、桐谷藍美(きりたにあいみ)、世界一をめざして男子高校生(コイツ)にバトントワリングをコーチする! #アラサ―OL #男子高校生 #バトントワリング #弟子と師匠 #共闘 #禁断の関係 #忘れられない好きだった人 #反抗期 #サウナ女子 #幸せとは #チューハイ大好き


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カルロ・ゼン、品佳直/売国機関


売国機関1 (BUNCH COMICS)

■実際に戦う者と、戦わざる者とのギャップを描く架空歴史もの。 前提が分かりづらいのが難点。

西と東を大国に挟まれた共和国。緩衝国とされていたが それが揺らいだがために両国の戦場とされ蹂躙された。 そして大国同士の手打ちにより終戦。かくして東西の 影響力を受けるなか、休戦なのか終戦なのか、 終の平和か束の間なのか、国民は様々な考えを持ち、 行動に移す。そんな混乱のなか、平和をすべての脅威から 死守する特務機関が物語の舞台として描かれる。


憎き敵国との安保条約を受け入れて何が自由か、 売国奴め、自由を!独立を!と訴えデモを起こす国民たち。 強制された平和でも、平和は平和。その平和を手に入れるために どれだけの犠牲を払ったのか。そもそもそんな独立を手に入れられる 力があるのか。ないからこその現状ではないのか。 そして反対を叫ぶ者は一体どう尽力しどう動き働いたのか。


かような認識の差を描写しつつ、本作が描くのは、 反動的な運動と通じる者たち、スパイの炙り出し。 誰がどのような思惑でどう国を食い物にしようとしているのか。 それを、百戦錬磨な上官のもとに、学校を首席で出たばかりで 新規に配属された新人を絡めることで多少読みやすく仕上げている。


とはいえ前提となる話が理解しづらい。冒頭数ページでざらっと 文字で説明されるだけなので、物語世界に没入するには時間がかかる。 ポーランドがモデルである、といわれてもまぁなかなか、 なるほど、とはならない。まぁアジアでも似たような環境はあるわけだが。話の本筋はそうした中で独立国として生きる小国は どうあるべきか、なので読んでいて分からないことはないのだが、 しかし両大国がどういうものなのか、がさっぱりなので 全体像が見えない。一巻はその状態で終わってしまうので、 靄がかかった印象が残る。まぁ漫画の単行本という形態が抱える 宿命か。


【データ】
原作=カルロ・ゼン、漫画=品佳直 (しなよしなお)
売国機関
【発行元/発売元】新潮社; B6版 (2019/2/9) ※電子版で購入
■評価→ C(標準) ■続刊購入する?→★★★★
■購入:
amazon→ 売国機関1 (BUNCH COMICS)
チュファルテク合同共和国――。 戦争が終わった国家を舞台に、内なる暗闘が始まる。 ”愛国者”の敵は、いつだって”愛国者”だ。『幼女戦記』のカルロ・ゼン最新作!! これは、血と鉄で刻む戦後を抱きしめる物語――。


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むつき潤/バジーノイズ


バジーノイズ (1) (ビッグコミックス)

■雰囲気もの音楽もの。 主体性のない主人公を バディが動かすスタイルの話。

住み込みの管理人をしている若い男性。 彼が唯一好きなものは、音楽。自分で音楽を 作って鳴らせればいい、と思っている。 だが管理会社に音楽がうるさいと苦情が入り、 管理人が騒音ってアホか、 今度やったら後任探すから出ていってくれと 言われてしまう。静かにしなければ。 しかしそうすると、では、音楽が流せないのなら、 この生活になんの意味が?


そんなことを考えていたとき、唯一話かけてくる 住人である女性から、自室に住んでいるのは誰? と問われる。苦情を入れた当人か、と思っていたが、 いつも聞こえる音楽がおしゃれでよいと。 それは実は…と答えかけたとき、女の子は 彼氏がバンドマンで、表現できる人っていいよね、 とかぶされて、感情を乱された彼はそれ以上何も言えなくなった。


という冒頭から、急展開。彼女は彼氏と別れ、 管理人はクビになり管理人でなくなる。 そして元管理人である青年の奏でる音を 女性は動画でとり勝手にSNSに上げる。 すると大きな反響が。彼女は仕事と部屋が決まるまで、 自室で暮らすことを彼に提案する。


想定外の同棲もの、なのだが その設定を特に生かさぬ一巻の展開は素晴らしい。 音楽を演奏して聴ければそれでいい、という 生産性も向上心も特にない人物が、 引っ張られ引きずられ引き上げられていく バディもの。 ただし、その音楽がDTMである、ということ を除けば別に目新しい話ではない。 そして、音楽を漫画で描く以上、 雰囲気ものとならざるをえない。


それが良い方向に働いているようには見えるが、 転がしていくのに難しい題材ではあるだろう。 ただ、現代のモラトリアムものとして 向いている題材ではある。自分のほしいものが 手に入らないもどかしさ。ここではないどこかへ。 それを、他人にもとめているところが 面白いが、実は社会とはそういうものなので、 自分が一人でもがく話よりも人間の本質をついている 作品のように思う。


【データ】
むつき潤 (むつきじゅん)
バジーノイズ
【発行元/発売元】小学館 (2018/9/12) ※電子版で購入
■評価→ C(標準) ■続刊購入する?→★★★
■購入:
amazon→ バジーノイズ (1) (ビッグコミックス)
新時代の“音楽”ד恋愛”体験。
「すきなもんいっこ、あればいい」――そう、思っていた。
マンション管理人をしながら、趣味で音楽を奏でる「だけ」。 “シンプルで完璧”な生活を送る清澄(キヨスミ)。
しかし――清澄が出逢ってしまったのは、バンドマンに恋をする女・潮(ウシオ)。 閉じた世界に流れ込む強烈な“ノイズ”が、清澄の人生を大きく変えてゆく―――
たったひとりと出逢うだけで、世界が変わる。 耳障りで、少し心地良いノイズ。


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