岡野める/となりのシャム猫探偵


となりのシャム猫探偵(1) (裏少年サンデーコミックス)

■獣人キャラによる探偵もの。事件自体は面白いが、 主人公たちの性格設定はやや疑問。

オールドヨークという都会に出てきた 少女。父親が管理しているマンションの 定期点検、視察に来たという。 そしてそこで住人の死亡事件が発生、 管理人が犯人とされ、ヒロインも巻き込まれることに。 そこに関わってくるのが、そのマンションを根城にしている 有名な探偵だった。


探偵もの、なのだが、キャラクターは ヒロインが人間である以外は概ね動物。 探偵もシャム猫。そうした設定は、 確かに事件を見てみると犯人の行動の余地を広げる 役割を果たしてはいるようだし、 人間であるヒロインの絵柄がどことなく鬼太郎の猫娘的 になってしまう著者の描き分けなら動物キャラのほうが 確かに映える。


とはいえ作品上の必然性は感じられず、 なんでこういう世界なのかの説明はまったくないのは 正直引っかかる。 加えて、探偵があんまりやる気がなく、 なのでそれをヒロインが煽り立てる構成になっている。 それもあってヒロインのキャラクターが 正義感振りかざして空気も読まずに突き進む、 というフラットな設定なのは、 読んでいて凡庸だなと感じてしまう。


人物にあまり魅力を感じない反面、 起こる事件はユニーク。ただし、 それは動物の生態を理解していないと 楽しめない類いの仕掛けが用意されており、 それもまたいかがなものかと思わなくもない。


この設定である説明が不足している。 そんなことを思わせないくらいの 圧倒的な勢いで描くか、 あるいは丁寧に設定を説明するか、 どちらかにする必要があったのではないか。


【データ】
岡野める (おかのめる)
となりのシャム猫探偵
【初出情報】裏サンデー(2017年) 【発行元/発売元】小学館 (2018/2/9) 【レーベル】裏少年サンデーコミックス 【発行日】2018(平成30)年2月14日初版第1刷発行 ※電子版で購入
■評価→ C(標準) ■続刊購入する?→★★★
■購入:
amazon→ となりのシャム猫探偵(1) (裏少年サンデーコミックス)
けものの街で名推理が光る!
オールドヨーク――そこは動物たちが共に暮らす巨大都市。ある事情で その街に降り立った人間の女の子、ロゼット・アッシュベリーは父がオーナーを務めるマンションで探偵業を営むシャム猫、レイモンド・シャーマンの助手として 働くことに。
犯罪がはびこる謎の大都会を舞台に、猫探偵の推理が冴えわたる!



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伊藤正臣/マグネット島通信


マグネット島通信 1巻 (バンチコミックス)

■離島リハビリ話にSF風味をまぶしたほのぼの系。ゆったり感に好感。

船に乗り離島の磁辺島にやってきたのは、叔父の家を借りて住む青年。 目的地につくとそこは玄関が開けっ放しで、家の中には少女がいた。


という冒頭だが、ここからどう話を転がすのかというと、田舎ならではの 交流という方向に持っていく。もともとの家主である叔父が入院で 本土に行って以降、近所に住む少女の家が掃除や草むしりをしてくれており、 その流れで今回も青年がやってくるということで片付けをしてくれていた、 という流れ。そんな彼女は東京的なものに憧れがあり、東京の話をききたがり、 スターバックスの紙袋をありがたがる。


ロハス的な話かというとそこまで積極的ではない。青年の移住は、東京で住むのが厳しくなってきたのも理由のひとつ。翻訳家なのだが仕事が減ってきて生活が苦しくなったところだったので渡りに船であると。専門がタイ語である、という設定に妙なリアリティ。


で、東京人である彼に興味を持つ少女と、なんとなく馴染む青年の話に、島を活性化しようとするが空回りする移住者の女性を絡めつつ、しかし話を動かしていくのはそこではなくて、島によく落ちているマグネット的な何か。金属片が落ちており、それは形も様々で、形により別々の特性があるらしい。青年はそれを気にするが島でそこまで気にしている人はあまりいない。


という、ゆったりとした話だったのだが。一巻巻末でどかんとSFっぽい展開となり、そこで巻またぎ。面白そうには見えるが、ここまで見せて後はまたね、とする売り方が適切なのかどうか。紙の書籍の売上をあてにしないのであれば、出来る仕組みは色々あると思うんだけれど。なんでこういうことを言うのかというと、結構好きだけれど続刊出た時に買うかというと後回しにしそうなタイプの作品なので。普通に紙書籍の単行本スタイルを踏襲したいなら、ページ数増すか、展開早めるかして、も少し展開したところで巻またぎにしてほしかったところ。これだと背中押しが弱い気がします。


【データ】
伊藤正臣 (いとうまさおみ)
マグネット島通信
【発行元/発売元】新潮社 (2018/2/9) 【発行日】2018(平成30)年2月9日発行 ※電子版で購入
■評価→ B(佳作) ■続刊購入する?→★★★
■購入:
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空から謎の金属片が降る島・磁辺島。タイ語翻訳家をしている本山田は、叔父の空き家を借り、都会から磁辺島へ移住することとなった。海が見える景色、豊かな自然、ゆっくりと流れる時間、人懐っこい島民との触れ合い。そんな新しい生活に心踊らせていたところ、島の空から謎の金属片が落ちてきた。それ以外にも見つかる島の謎。島の秘密が解き明かされていく、新感覚! SFファンタジー×アイランドストーリー!!


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矢樹純、青木優、津覇圭一/バカレイドッグス


バカレイドッグス(1) (ヤングマガジンコミックス)

■無免許だが凄腕の闇医者の話。「ブラック・ジャック」 を現代風にしてしまうとこんな感じになってしまうのか。

父親の借金返済をヤクザに迫られるが強情に応対していた女性。 水商売に沈められるすんでのところで、別の買い手に引き取られる。 それは彼女の看護師経験を見込んでのこと。 裏社会の訳あり相手の闇医者がアシスタントとして彼女を迎い入れたのだった。


対価に大金を要求し、前払いを義務付けるが、 腕は抜群。大病院でも通用しそうだが無免許だという。 そんな兄と、保険屋をしている弟。 このコンビを描く話である。 ちなみにカネが必要なのは相応の理由があり、 裏社会で闇医者をやっているのも同様。 無国籍な「ブラック・ジャック」を だいぶ現実に引き戻したとはいえ、、 設定はまだまだ漫画チックではある。


それでも話は面白い。が、シビアだったり湿っぽかったりと ゆらゆら揺れる話は、軸が定まらず微妙に気持ちが悪い。 そこに輪をかけて、ヒロインがうるさい。 やたらと騒ぎ正論を吐く。パニックものにはよく登場する類いの キャラクターである。この人物も奥が深そうなのに 表層だけで物語に関与させられ、つまらない役回りを 進行上しかたなくさせられている感があるのが、 本作に乗り切れないところ。 もう少し苛つかせずに読ませてくれれば続刊を読む気も起きたと思うが。


【データ】
原作= 矢樹純(やぎじゅん)、漫画=青木優(あおきゆう)、構成=津覇圭一(つはけいいち)
バカレイドッグス  ※私が買った電子版の後付では何故か「バカレイドックス」と濁点が落ちている・・・
【発行元/発売元】講談社 (2018/2/6) 【発行日】2018(平成30)年2月1日初版第1刷発行 ※電子版で購入
■評価→ C(標準) ■続刊購入する?→★★★
■購入:
amazon→ バカレイドッグス(1) (ヤングマガジンコミックス)
とある街の裏路地<バカレイ>に、社会のハミ出し者だけを救う闇医者兄弟がいた。金さえ払えば、どんな手術でも引き受ける無免許の天才外科医・犬童辰二、その弟、犬童亥三。そんな彼らの営む犬童医院に来る患者は、全員犯罪者だった!闇に蠢く命を救う闇医者物語<メディカル・ピカレスク>、開院!!


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環望/泪−泣きむしの殺し屋−


泪〜泣きむしの殺し屋〜 : 1 (アクションコミックス)

■後ろめたさを持つヒロインの 巻き込まれ型サスペンス。

身体の関係を要求された上司を 思い余って突き落としたヒロイン。 自殺を考えるが、翌日のテレビでは 上司は遺書を残して自殺したと報道されていた。 しかも会社では3000万円を横領していたとして 大騒ぎであるという。


でもその3000万円は・・・と思っていたところ、 彼女のもとにケータイ電話が届けられる。 SNSアプリで連絡してきた相手は、 あなたのしたことを偽装したと、 真相を公表されたくなければ我々と組むように、 というのだった。


横領をネタに脅されていた人物が 人殺しの隠蔽のかわりに、殺し屋として雇われる話。 裏組織は、正義の鉄槌を下すようなもので、 きれいすぎるのはこの手の漫画でありがち。 その手先に使われるヒロインが、 カネが必要だったり仕事を選べない事情はあるが、 自身の決意で選んだ道という感じではなく、 だったらこの構成は弱いかな、という気もする。


弱々しく男に蹂躙されるような地味な女性、 でも守るべきものがあり、かつそのためには犯罪まで足を踏み出すという 強い人物、というかいろいろ破綻している人物がヒロインというのは、 マゾっぽい展開には最適か。 本作の見どころは、彼女の翻弄のされかたや心の動き にあり、それ以外はまぁどうでもよいのだろう。


なお電子版は4話収録で400円+消費税。紙の単行本の収録話数が不明なので どっちがコストパフォーマンスが良いかはわからずも8話入っているなら電子版のほうが高くつく。印刷や流通のコストや返品リスクのある紙書籍より電子版は安くないと消費者としては納得がいかない。いや、電子書籍は電子書店の取り分が多いので・・・という話だとすると、それは紙書籍は取次・書店の取り分が少ないってことで、そりゃ取次も書店も潰れるわな、版元のせいじゃん、ってことを言ってるわけですね。 電子版は続刊発売済→泪〜泣きむしの殺し屋〜 : 2 (アクションコミックス)


【データ】
環望 (たまきのぞむ)
泪−泣きむしの殺し屋−(るい なきむしのころしや)
【発行元/発売元】双葉社 (2017/9/1) 【レーベル】毒りんごcomcis ※電子版で購入
■評価→ C(標準) ■続刊購入する?→★★★★
■購入:
amazon→ 泪〜泣きむしの殺し屋〜 : 1 (アクションコミックス)
平凡なOL・仲里泪はある日、殺人を犯してしまう。しかしその犯行は公にならず、警察は自殺として処理する方針らしい。混乱する彼女の元へ1台のスマホが届き、メッセージが表示される。 「我々はあなたの事なら何でも知っています 何をなさったかも全て」 その顔も知らない何者かは泪を意のままにあやつり、ついにはある男を殺すよう指令を下すのだが…。 非力な普通の女性である泪に人を殺すことができるのか? 果たして彼女の運命は? 環望が描くノンストップ・アクション・サスペンス!(第1話〜第4話を収録)


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KUJIRA/万歳!−MANZAI−


万歳! -MANZAI- 1 (アイズコミックス)

■ 漫才で世界平和を目指す、のかどうか知らないが てっぺんとろうとする二人の話。 紆余曲折あって一巻でようやくスタートライン、 というのが引っかかるが・・・。

大阪舞台、漫才師の話。 だが主人公はテレビどころか舞台にも立てず、 相方もおらず、師匠にたてつき、 お使いもカネをパチンコに使い込むような、 一言でいえばクズ。でもってしまいには 破門されてしまい、借金取りも追ってくるし、 じゃあ死のうか、と思っていたのだが。 幼馴染でコンビを組もうと思っていた相手と 漫才がやりたい、ということで生き延びることにした。


ちゃらんぽらんで口ばっかりの主人公だが、 屁理屈こねるだけの頭はあるし、 なんで漫才師になりたかったのか、 師匠をどうやって選んだのか、は過去の描写から 浮かびあがってくる。


一方で、舞台に立ったら緊張して漏らしてしまう、 ってネタはプロになろうって人物としてそれはさすがに・・・。 さらに、幼馴染と再びコンビを組もうと思った理由が 彼のコンビがテレビの勝ち抜き戦で負けたからだが、 9週勝ち抜いたコンビの相手が緊張してネタが飛ぶって、 そこまで勝ち抜いておいてそんなことあるんかね。 いや、あるかもしれんけど、説得力がなぁ。


という具合に、ひっかかる点がある。 なんだかんだでコンビを組んで、さて始動、 となるところで一巻終了。 面白くなりそうな気もするのだが、 ここまでで一巻使っちゃうかぁ、 という思いも否めず。 続刊発売済→ 万歳! MANZAI 2 (アイズコミックス)


【データ】
KUJIRA
万歳!−MANZAI−
【発行元/発売元】ホーム社/集英社 (2017/1/25) 【レーベル】集英社マーガレットコミックス 【発行日】2017(平成29)年発行 ※電子版で購入
■評価→ C(標準) ■続刊購入する?→★★★
■購入:
amazon→万歳! -MANZAI- 1 (アイズコミックス)
大阪育ちで、幼い頃から漫才師になることを夢見ていた哲夫は、有名漫才師に弟子入りするもクビになり、今は借金取りに追われる日々…。その現実から逃げるため、哲夫は天井から吊るしたヒモに手をかけて首を── …その時、テレビから流れてきたのは、幼馴染で元相方の、いっせーの漫才だった。いっせーとまた漫才をしたい! という気持ちに突き動かされ、走り出す哲夫だが…!? KUJIRAが描く、昭和青春漫才ラプソディー、開幕!


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三月えみ/雲一族と泥ガール


雲一族と泥ガール(1) (BE・LOVEコミックス)

■疑似家族ものの変形。 硬直化した資産家一族に吹き込む新しい風、という体か。

養子であることを知らされて育てられてきた少女。 父母の間には実子の弟妹も生まれ、その後母は死去。 男手ひとつで頑張ってきた父も急逝、という展開で、 突然弁護士が現れ、父の弟が著名ホテルグループの 社長と聞かされる。皆はそこへ迎えられるも、 家族は血の繋がりであるとして、つながりのないヒロインは 放逐されてしまう。


疑似家族もの漫画は多発されているが、 本作はさらに一捻り。ただ、その入れ子構造の先が セレブ一族というのは設定が昔風味。 しかもそのセレブの家庭が典型的な無機質具合。 まぁ、敵というか相手をフラットな固定キャラクターに設定して、 ヒロインを動的なラウンドキャラクターとする、 というのは定番ではあるのだが、話は作りやすく動かしやすいかわりに、 安易なものに見えてもしまう。


ボスキャラを冷血漢に設定した分、その家の娘たちは 一見クールも実はその家に生まれたがゆえに押し隠しているものがあり、 それがヒロインの活躍により徐々に見えてくる、 血の通った人物となっていく、という展開は見事。


著者の上手さはわかるが、話の本筋が、未成年は居場所がないので ツライよ、という話になってしまうところが 読んでいてしんどい。続刊発売済→雲一族と泥ガール(2) (BE・LOVEコミックス)


【データ】
三月えみ (みつきえみ)
雲一族と泥ガール
【発行元/発売元】講談社 (2017/10/13) 【レーベル】講談社コミックスBL 【発行日】2017(平成29)年10月1日発行 ※電子版で購入
■評価→ C(標準) ■続刊購入する?→★★★
■購入:
amazon→ 雲一族と泥ガール(1) (BE・LOVEコミックス)
貧乏な4兄弟の長女・すずめ。ある日、父親が亡くなり、すずめたちはセレブな一族、七海家に引き取られることに。 しかし、養子だったすずめは「家族」として認められず、七海家でペットとして飼われることになってしまい!?


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小川亮/私人警察


私人警察(1) (マンガボックスコミックス)

■ストーカー逮捕専門の探偵というか元警察官の話。 主人公に背負わせた物語が大きすぎるので 話がどんどん膨張していくが、その方向だと 普通の警察ものと変わらなくなるような気がするのだが。

いわゆる地下アイドルの女の子。ストーカー被害を 警察に相談していたのだが、反応は芳しくなく。 そこで「ストーカー捕まえます」の看板を掲げ、 私人逮捕を繰り返す元警察官に依頼をする。


このストーカースイーパー業の元警察官が 主人公。彼がそうした仕事をするにあたり、 家族をストーカーに殺され、なので 恨みがあり、復讐のためにやっているのだ、 という設定を用意したのは丁寧ではあるが、 重すぎる。


レーベルは少年マガジンコミックスなのだが、 実際はマンガボックス作品のようで、 途中途中の場面が少年誌のそれではなく、 描写はさすがに抑制されているが 性的にも暴力的にも青年誌寄りなハードな代物。 というのもちょっとどうなのかと思いもする。


そして話は、主人公の設定を活かすべく、 異常な殺人者との対立話に。 あれ?そういう方向に進むのか。 内容としては面白いのだけれども、 結構よくあるタイプの話に収斂していってしまうような。


ストーカー掃除屋として飄々とした内容に したほうが新奇性があったような気がしますが。 続刊発売済→私人警察(2) (マンガボックスコミックス)


【データ】
小川亮 (おがわりょう)
私人警察
【発行元/発売元】講談社 (2017/10/6) 【レーベル】少年マガジンコミックス 【発行日】2017(平成29)年10月1日発行 ※電子版で購入
■評価→ C(標準) ■続刊購入する?→★★★
■購入:
amazon→私人警察(1) (マンガボックスコミックス)
元警察官・麻木蓮二。妻子をストーカーに殺された経験から、ストーカー逮捕のみを目的に生きるようになる。目的遂行のためならどんな犠牲も構わない! 変態ストーカー専門の“警察を越えた警察”!! 常識破りの“ノンポリス”アクション!!


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