【オススメ】 小野玄暉/フルドライブ


フルドライブ 1 (ジャンプコミックスDIGITAL)

■【オススメ】新奇性はないとはいえ、 パワーがあって読ませる卓球漫画、だと思うんだが。

チビでクォーターで日本でもドイツでもいじめられていた 男の子。彼に祖父は、イジメられる理由は「お前が自分を 照明してないからさ」と言い、卓球ラケットを贈る。


その彼が4年後、中学生になって日本に帰ってくる。 偶然に日本の女子のトップ選手に出会い、 卓球場で彼女とゲームをして、そして彼女のいる エリートアカデミーにスカウトされる。 その展開はご都合主義かもしれないが、まぁ流れは良い。 本筋でない部分は、流れで読ませることが出来るのなら、 ご都合主義でもいい。


ヘタレに見えるが、それは油断させるため、という主人公。 かなり自信たっぷりで、他のトップクラスの子たちも すぐに認め合う。まだ練習だが、スピード感があり 格好いいゲームが展開され、読んでいて引き込まれる。


主人公には、かつて世界を席巻したチャンピオンで 卓球王国中国でもコピーを作れなかったという 伝説の存在が祖父である、という背景も用意されている。 が、主人公は自分自身の名前で勝負したい、 ということでこの話は早々に封印気味に。 だったらその話を突っ込む意味があったかしらん、 と思わなくもないが、そのエピソードがないと当初の話が 動きようがないのでまぁしょうがない。


設定も話も格好良い。周辺のエピソードも巻き込みつつ スピードが衰えない。ただ、話も設定も見せ方も、 新機軸といったものはない。いや、それで全然いいと 思うのだけれど、結局、それだと作品が目立たない、 際立たない、というのであれば、もっとエッジを立たせないと いけないのかもしれない。 個人的にはこの内容で、パワフルで充分面白いと思うんだがなぁ・・・。


【データ】
小野玄暉 (おのげんき)
フルドライブ
【発行元/発売元】 集英社 (2018/2/2) 【レーベル】ジャンプコミックス 【発行日】2018(平成30)年発行 ※電子版で購入
■評価→ B(佳作) ■続刊購入する?→★★★★
■購入:
amazon→ フルドライブ 1 (ジャンプコミックスDIGITAL)
卓球王国・中国さえも恐れた、ドイツの元卓球世界王者を祖父にもつ少年・玉城弾。祖父仕込みの卓球で、弾は徐々に頭角を現す。祖父の死後、ドイツから日本へ渡った弾と、天才卓球少女・白石真凛の出会いにより新たな物語の扉が開く!!


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【オススメ】 海野つなみ/デイジー・ラック 


新装版 デイジー・ラック(1) (Kissコミックス)

■【オススメ】30歳になる4人の女性の 恋愛模様を描く連作風作品。

新装刊として再発売された旧作だがご紹介。 アラウンド30の幼馴染4人の話。 ずっと仲良い4人、ということではなくて、 高校卒業後はバラバラだったけれども 一人の結婚式を機に再び集まるようになった、 という設定がなかなか上手い。 なのでキャリアが皆違う。 フリーでバッグを作る者に、高級エステサロンの 企画・営業、宝石屋勤務、パートの主婦。


この4人の生活を描く。基本は恋模様。 普通は一巻でまとめそうなところを、 だらっと複数巻にしたことで余裕のある作りになったのが 面白さを増す結果となった。一方で 本当はもっと続けたいところを打ち切りになったのだそうで、 確かに2巻まで読むと、ちょっと中途半端な感じもあり、 ただ逆に余韻を覚えなくもない。


恋愛中心の話ではあるが、 最初は既婚者から始まり、ここは夫婦のすれ違いを描くものの さほど波風立たずに復旧。この話が観念的で一番面白みがない。 他の人物には恋愛も仕事も動きがあって読み応えが増す。


とはいえ本作の醍醐味は、彼女たちが集まって 近況を報告したり互いにツッコミをいれるシーン。 それぞれの人生を描く連作はあっても、4人が定期的に会合を持って、 そこで色々なやりとりをし、あるいは深刻だと思っていた話を いなされて心が軽くなる、みたいな展開のある作品はあまり ない。それが本作の魅力だろう。


そしてこの作品は舞台も2000年になる頃の話であり、 20年近く前に刊行されたものであるのだが、 今読んでも違和感がない。 だからこそドラマ化されることになり、新装刊が発売されたわけだが。 しかしこれ、ドラマにするほどの尺もないような気がするが・・・ 10話分もどうするのかは著者ならずとも気になるところ。 全2巻完結→新装版 デイジー・ラック(2) (Kissコミックス)


【データ】
海野つなみ (うみのつなみ)
デイジー・ラック (新装版)
【発行元/発売元】講談社 (2018/2/13) 【レーベル】講談社コミックスKiss 【発行日】2018(平成30)年2月1日発行 ※電子版で購入
■評価→ B(佳作) ■続刊購入する?→★★★★★
■購入:
amazon→ 新装版 デイジー・ラック(1) (Kissコミックス)
主婦・岩代えみ。宝石店勤務・山城楓。高級エステ企画・周防薫。鞄職人・讃岐ミチル。4人は、定期的に「ひなぎく会」を開いている幼なじみ。30歳目前にして、それぞれに訪れた人生の転機とは!? オムニバスで描く女の友情、人生転機の物語!


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【オススメ】 高瀬志帆/二月の勝者 −絶対合格の教室−


二月の勝者 ―絶対合格の教室―(1) (ビッグコミックス)

■【オススメ】「ドラゴン桜」の中学受験版か。 シビアでクールな裏に見えるウェットでウォーミングな内容は、 いいのか悪いのかまだ判断つかないが、テーマは面白い。

主人公は大学出で就職した女子。 彼女が入ったのは中学受験のための進学塾。 ただし彼女は自身は中学受験の過去がなく、 知識もない。とはいえ子供に教えることをしたい、と いう熱い思いはある。


無知な登場人物を作り、そのキャラクターの視点を通して 世界を見ていく、というのは職業ものの基本ではあるが、 凡庸に見える。特に、テクニックも重視される世界を描くのに、 考えの足らないヒロインを配置するというのは、 正直どうかと思う。


そうしたヒロインを設定したがために、一方には スーパーヒーローを配置セざるを得なくなる。 彼女の上司となる新たな校長は、企業としての進学塾の あり方と儲け方を考えつつ、子供をどう導くか、 ということも念頭に置いている。そのうえで、 露悪的な発言をするのは、「弁護士のくず」などに似ているが、 無知なヒロインの存在が大きくなると物語として 凡庸でつまらなく見えてくる。本作は結構危うい。 ドラマ化したらまず間違いなく凡庸な作品に仕上がるだろう。


そんな作品だが、面白く見せるのは、中学受験にまつわるリアルさである。 小学生である子供は何を思って受験しようと思うのか、 頑張るのか、どこでくじけるのか。親の思いは何なのか。 塾は何をすべきなのか。そもそもが中学受験は、狭き門である。 それは最悪の場合に公立校進学というバックアップがあるので 皆背伸びをすること、一方で有名校はほぼ中高一貫なので中学から 入らないと行けなくなるということ、が原因のようだ。


もはや大学全入時代と言われるので大学受験は ホットなネタにならない。まぁ受験戦争を経験した世代には 信じられないことだが。そして高校入学も、 実は中高一貫の殆どは高校からは入れないということで、 そもそも扉が開いていない。その辺も中高一貫だが 高校入学がある学校に行ったクチなので個人的にはそうなのかぁと 驚くところ。なるほど。中学受験しないと、差がつくのか・・・。


【データ】
高瀬志帆 (たかせしほ)
二月の勝者 −絶対合格の教室−
【初出情報】週刊ビッグコミックスピリッツ(2018年) 【発行元/発売元】小学館 (2018/2/9) 【レーベル】BIG SPIRITS COMICS 【発行日】2018(平成30)年2月14日初版第1刷発行 ※電子版で購入
■評価→ B(佳作) ■続刊購入する?→★★★★
■購入:
amazon→ 二月の勝者 ―絶対合格の教室―(1) (ビッグコミックス)
中学受験界に現れた最強最悪の絶対合格講師
2020年の大学受験改革を目前に、激変する中学受験界に現れたのは 生徒を第一志望校に絶対合格させる最強最悪の塾講師・黒木蔵人! 受験の神様か、拝金の悪魔か? 早期受験が一般化する昨今、 もっとも熱い中学受験の隠された裏側、合格への戦略を 圧倒的なリアリティーでえぐりだす衝撃の問題作!


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高瀬志帆/あいどる

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【オススメ】 美代マチ子/ぶっきんぐ!!


ぶっきんぐ!!(1) (裏少年サンデーコミックス)

■【オススメ】美大卒の女の子が残念な書店でアルバイトを始める。 書店にもまだやれることがあるのかもしれない。

美大を出たがアートをやりたくて、でも仲の良かった同級生は 普通に就職。いつまでも夢見てたってしょうがないのよ、 と言われたヒロインは、自分が何者でもないことに直面したくなかった。 そんな彼女がシャーペンの芯を求めに出かけたところで、 ここにもあるかも、と立ち寄ったのが寂れた書店だった。


時代は2006年という設定。品揃えの悪い本屋、親から押し付けられて やる気のない店長。そこでヒロインは行きがかり上バイトすることになる。 小さい書店は取次も相手にしてくれないし配本もない、 という状態から、それでもヒロインはやる気を出して頑張ろうとする。 書店のポップで自分の美術力を発揮すればいいじゃないか、と。


「人の手が一回入るだけで見知らぬ本を手に取る可能性がぐんと上がる気がする」というヒロインのモノローグは、けだし名言。鍛金のしおりをおまけにつけたり、神保町の神田村で仕入れたり、地元出身の作家にサイン会をお願いしたり。 そんなエピソードを経つつ、店長もやる気になったところで巻またぎとなる。


書店が厳しいのは特徴がないからで、その店に行って買うべき理由が あれば生き残ることはできる、はず。実際頑張っている本屋もないではない。 ただその特徴が儲けに繋がっている必要はあるが。 自分の周りを見渡すと、昔から通ったことのある店では 駅前の一軒が健在。近隣の商店街に一店。ただし駅向こうの商店街は 長らく書店レスだったところ最近できた書店がすぐに閉店。 とはいえ、ちょっと足を伸ばした商店街では地元の書店が2,3店 営業中という、特殊な地域なのかもしれない。レコード屋はもうないし、 レンタルビデオ屋も消えたことを考えると、本屋はまだしぶといほうである。


ところで、この作品は書店がどうこうということもあるが、 自分は必要とされている、居場所がある、と思いたい人が ジタバタする話、というのが主軸である。 それがベースにあるから、読んでいて面白いのだろう。 しかしこれ、12年前の話、ということで、 この後どうなるのかな、というのはややどきどきではある。


【データ】
美代マチ子 (みよまちこ)
ぶっきんぐ!!
【初出情報】裏サンデー(2017年) 【発行元/発売元】小学館 (2018/1/19) 【レーベル】裏少年サンデーコミックス 【発行日】2018(平成30)年1月24日初版第1刷発行 ※電子版で購入
■評価→ B(佳作) ■続刊購入する?→★★★★
■購入:
amazon→ぶっきんぐ!!(1) (裏少年サンデーコミックス)
元書店員が描く心温まる小さな本屋さん物語
今から12年前、美大を卒業し人生迷走中の大國かの子は老舗小型書店・光林堂で働くことに。「一年後には街一番の本屋さんにしてみせます!」書店業界にとって激動の転換期となったスマホ登場前夜の2006年とはどんな年だったのか? とある小さな場所から、時代のうねりに元気と熱き想いで立ち向かう、骨太の痛快お仕事ドラマ!!“書店の力を信じてる。”



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【オススメ】 森田るい/我らコンタクティ


我らコンタクティ (アフタヌーンコミックス)

■【オススメ】冷めているようで熱い話。勢いがあり読ませる。

マンガ大賞2018ノミネート 。ただし一巻完結本であり、 大賞受賞はないだろう。 賞なんてのは保守的なものなので。


会社というか社長にいらっとしているOLは会社やめようかなと 思う帰り道、小学校時代の同級生に声をかけられる。待ってた、 いつもより遅いね、ということでストーカーかと思うが、 工場が近所でいつも帰宅する姿が見えていたのだと。 そこで見せられたのが、彼の工場で実験しているロケットブースタ。 それに魅せられたヒロインは、カネになりそう、会社辞められるかな、 という気持ちが芽生える。


なんだそりゃ、全然同情も共感もできないよ、というヒロインの 自分中心な心情を描き、登場人物みなそんな感じ、 工作に明け暮れる人物は子供の夢そのままでおとなになったような 感じだが純粋とか純真とかいうわけでもない。 皆なんというか浮世離れした設定である。


宇宙で映画の上映会をしたい、というその夢にむけて、 過剰なスペックをもった人物が色々作り上げてしまい、 じゃあ打ち上げようか、という話。その夢にヒロインも 思い切り乗っかるのは、まぁ、自分も何か夢を見たかったからか。 人が楽しいのを妬む、という人物を周辺に用意しているが、 なるほど、ヒロインはそういう点で違うのね、 楽しみを見つけに行こうというタイプなのかと。 一方でロケット作っちゃう主人公は、自分で楽しみを作るタイプ。 そう考えると、これ、ネットでもよく見る人物関係の縮図なのね。


後半にかけてはスピード感あり面白い。ただし、そういう話で良いのだろうか? という感じもして、なので話の持っていきかたは疑問。でも、面白いのは 確か。なのでなかなか評価に困る。最後に後日談を入れない終わらせ方も見事。 なおこれを犯罪とするかというと、まともな国家の場合、こういう才能は取り込んでおくにこしたことはないと判断するはずなので、普通はおおごとにしない。背景に公安案件なければ特に。ある場合も泳がすか?まぁ、 法律未整備のうちに先行して色々やれる才能ある人が勝ち、 というのは世界共通。って、そういう話はどうでもいいですね。


【データ】
森田るい (もりたるい)
我らコンタクティ
【発行元/発売元】講談社 (2017/11/22) 【発行日】2017(平成29)年11月1日初版発行 ※電子版で購入
■評価→ B(佳作)
■購入:
amazon→ 我らコンタクティ (アフタヌーンコミックス)
冴えない会社員をしているカナエは、小学校時代の同級生中平かずきと再会する。彼はナゼか一人でロケット開発をしていた。かずきの驚くべき目的を知り、カナエは思わず脱力!だけど、二人は一緒にロケット開発をすることに!カナエとかずきが小学校の時に見たUFOも絡み、思いもよらぬ方向へ物語は進む!いくつかの短編漫画をアフタヌーン誌上に発表し好評だった森田るい氏が満を持して放つ初長編漫画!



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【オススメ】 田中靖規/サマータイムレンダ


サマータイムレンダ 1 (ジャンプコミックスDIGITAL)

■【オススメ】久々に故郷の島に帰ってきた少年に 降りかかるサスペンス。きれいな絵柄に、中身のある話。 しかしこの展開は描き手も読み手も頭使うな・・・。

幼馴染が水着で語りかけてくる夢を見ていた少年。 起きがけに船で同乗していた向かいの見知らぬ女性に すがりついてしまう。島につけば、 妹同然の女の子が自転車でお迎えにくるが ブレーキがきかずにそのまま海へ。 転落する際に下着を思いっきり目撃してしまう。


そんな、少年誌らしいラッキースケベ展開で、 絵もかわいいというか綺麗だし、人間が少なく関係も密な 離島でのラブコメ展開か、と思ったが、その後の話は全く違った。


主人公の帰郷は家族同然で育った幼馴染が亡くなったため。 葬式に出るためだったが、遺体には不審な点があったという。 幼馴染の妹は、ドッペルゲンガーを見かけた、という話を持ち出す。 するとそこに通りすがりの人物が。影の病、というその島の風土病 について説明する。「影を見た者は死ぬ 影に殺されるんや」と。


主人公には守れなかった者がおり、そして守りたい者がいる。 それを襲おう、乗り代わろう、とする存在がある。 外部から島にやってきてその存在について探っている者もいる様子。 そして、 知っている島の人間そっくりの姿形で襲ってくるモノに、 主人公は頭を撃ち抜かれてしまう。


話のスタイルとしては、最近作では 堀尾省太「刻刻」 三部けい「僕だけがいない街」 が近い。 タイムリープというかループ系。 異世界的な存在も入れ込んでいるので前者のほうがより近いか。 主人公の記憶だけは累積されていく 『恋はデジャ・ブ』方式。考えてみればこういう設計でコメディにしたこの映画は凄いんだなと思う。


過去に起こったことを主人公は蓄積しながら、同じ日を繰り返す。 これは話が進むほど構成が重層的になり複雑化するということで、 作者さんは大変だろう。 今のところ非常に面白く興味深い。 続刊の展開を楽しみに待ちたい。


【データ】
田中靖規 (たなかやすき)
サマータイムレンダ
【発行元/発売元】集英社 (2018/2/2) 【レーベル】ジャンプ・コミックス+ 【発行日】2018(平成30)年発行 ※電子版で購入
■評価→ B(佳作) ■続刊購入する?→★★★★
■購入:
amazon→ サマータイムレンダ 1 (ジャンプコミックスDIGITAL)

幼馴染の潮が死んだ──。その報せを聞き、故郷の和歌山市・日都ケ島に帰ってきた慎平。家族との再会。滞りなく行われる葬儀。だが島にはある異変が…? ひと夏の離島サスペンス!!


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【オススメ】 田中圭一/うつヌケ うつトンネルを抜けた人たち


うつヌケ うつトンネルを抜けた人たち

■【オススメ】 うつとはどういものか、を知らない人に知らしめるための本。 そして、自身の思いを共有したいうつの人が読むための本。 そういう点では素晴らしい本である。

話題になっていた時点で読みつつ、 どう紹介したものか、と思ったまま時間がたってしまった。 今さら、ではあるが、周回遅れながらアップしておきたい。


著者自身が鬱病となり、その鬱とどう付合い、 どうトンネルを抜けたか、という体験を優しく、ポップに描いている。 さらに、同様にうつヌケした人たちの事例も紹介。 同じような人々に寄り添うような内容となっている。


が。Amazonのレビューを見ると、これは表現の世界で生きる 成功者たちが鬱に陥った話であって、もともと特になにもない 普通のひとが、わからぬうちに鬱に入ってしまった例がない、 参考にならない、特別な人たちの話だ、というコメントが いくつもあった。


いや、事例が成功者寄りなだけで、中身は普通の人とさほど 変わらないと思うのだが・・・。本編でも、自分を肯定するものが 身近にない人はどうしたら?の問に、「ここまでの取材で答えが出てるでしょ?」と返しつつも丁寧に

小さな達成感を得られる「なにか」を見つけよう
ささいなことでもいいので必要とされている役に立っていると実感できる瞬間を持とう!!
と書かれている。なのに本質には目がいかないまま外見の違いで、 これは私とは違う、私はやっぱり駄目なんだ、みたいな 話になってしまうのか・・・。ということで、 本当に鬱に悩んでいる人が救いを求めて読むものではないのかもしれない。 そのへんは著者の思いとは違うのだろう。著者は本に救われたので、 自身も描こうと思ったようだ。だが本当は、 鬱病の人が頼りにすべきは医者なので。 その医者があっているのか良い医者なのか、 という点はあるが、それについては本書掲載のエピソードが 参考になると思う。


鬱になるタイプは自分でなんとかしようとするタイプで、 何かあった場合に責任を自分に求め、結果自殺に向かうことが多い、 などと聞いた。逆に責任を他人に求めるタイプだと 他殺に向かうので鬱になることはないと。雑な話、かもしれないが、 いや、本質はそこなんだろう。 作中でも自分を好きになることを重視されており、 セルフエスティームか、 まぁそういう研修するところはビジネス系のコンサルにもあるよなぁ、 でもそれ宗教と同じだよなと。宗教や信仰は、 まぁ社会にとっては不幸な存在だが個人が勝手に信じる分には 有用なのでそれでいいのかもしれないが。 人は正しいと思うものを他人にも良かれと思って押し付けたくなるものなので。 あまりこの手の話を称揚したくはないのである。 本当はテクニカルに克服する手段があるとベターだと思うのだけれど。


本作は、人それぞれ、という立ち位置がしっかりと示されていて、 それでいて、軽くなる役目をもし果たせるのなら、 という思いも込められている。


【データ】
田中圭一 (たなかけいいち)
うつヌケ うつトンネルを抜けた人たち
【発行元/発売元】 KADOKAWA (2017/1/19) 【発行日】2017(平成29)年1月19日発行 ※電子版で購入
■評価→ A(絶品)
■購入:
amazon→うつヌケ うつトンネルを抜けた人たち

パロディマンガの巨星がマジに描いた、明日は我が身のうつ病脱出コミック!
著者自身のうつ病脱出体験をベースにうつ病からの脱出に成功した人たちをレポート。うつ病について実体験から知識を学べ、かつ悩みを分かち合い勇気付けられる、画期的なドキュメンタリーコミック!


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