【オススメ】 山岸菜/ムーンランド


ムーンランド 1 (ジャンプコミックスDIGITAL)

■【オススメ】ストイックな体操もの。論理が違う者が複数出てくる強情で身勝手な話にしたのが面白い。

体操クラブの練習を外から見ていた少年。クラブに通う子に、「大事なのはお前のやる気」「お前の体動かせんのはお前だけなんだぜ」と言われ、自分にできるかなと逡巡していた彼も体操をやることにする。


しかしこの主人公は、淡々と基礎的なことをこなしていくのみ。自分の体のすみずみまで自分の意思が通るか、自由に動かせるか、が彼の課題。そんな彼は試合への出場をこじしていたが、中学最後だからと指導者にエントリされる。「体操の技というのは試合で成功させて初めて"できる"ってことなんですよ」と。


幼馴染で上を目指す人物と、自分なりの体操の完成を目指す人物と。そこに、同世代トップの人間をぶつけ、幼馴染以上に勝ち負けにこだわる少年と主人公の対立にスライドさせたのは見事な構成。主人公はストイックだが、同世代トップの少年も別の意味でストイックなわけで、それぞれ理論や信念を持つ者同士が自分の道を行く様は気持ち良い。


ヒロイン的人物と、全くの初心者も投入して物語世界に広がりをもたせたところも上手い。割と登場人物多めだが、とっちらかっていない。別の高校に行った幼馴染が話に合流してくれば更に広がりができてくるのだろう。展開が楽しみ。


【データ】
山岸菜
ムーンランド
【発行元/発売元】集英社 (2019/3/4) ※電子版で購入
■評価→ B(佳作) ■続刊購入する?→★★★★
■購入:
amazon→ムーンランド 1 (ジャンプコミックスDIGITAL)
体操に夢中な中学3年生・天原満月。今まで試合に興味がなかったものの、ひょんなことから中学最後の大会に出場することに。そこで強豪クラブのエリート選手・堂ヶ瀬朔良の演技を目の当たりにし、満月の体操人生は一変。自分の意思通り体が動く体操を求めて、満月は朔良と同じ高校に進学するが…!?


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【オススメ】漆原友紀/猫が西向きゃ


猫が西向きゃ(1) (アフタヌーンKC)

■【オススメ】不自然を描きながら、なるがままに任せるしかない、という観念を描く、ちょっとしたファンタジー。

ヒロインが市役所の紹介されたアルバイト先は、フローを処理する業者だった。


フローって何?という話だが、「空間の浮動化」だそうで「元々この世界のすべての物質は 絶えずゆらゆらとごく細かにゆれていて安定せずにあるもので ときにバランスを崩して形を変えることがある それを浮動化またはフローと呼ぶ」のだそうな。そして、そのフローの存在があたりまえの社会の話。本作は、そうしたわかりづらい話を、事態に対しては初見であるがある程度理解力のある人間を通して描くスタイルの作品である。


とはいえフローは異常事態であり、例えば三叉路が七叉路にまで分かれてしまう。 それがどれくらいで終わる規模感なのかを推計する、人力の場合は原因を突き止めるのがフロー処理業者のお仕事。それがわかるのは、匂いのようなもの、だそうで勘と感覚と、あとはお供にしているしゃちょうと呼ぶ猫のテンション。猫はフローが好きであるらしい。


物語はエピソードごとにフローが発生し、それが解決される流れ。探偵ものと同じである。違うのはフローというものがあまり深刻に描かれないこと、なのだが、ヒロインは自身がフローの影響を肉体的に受けている。ただそれを雇い主は、いずれ解決するから、人生の寄り道と考えて、と軽く受け流す。


そうして描かれるのは、いろいろな変化があっても、なるがままに任せるのが良いのではないか、というお話であり、その根幹となる思想と、 あとは空気感を楽しむ作品。あとがきでは作者は「現代もの風景まんが」を描きたかったようで、「カーブミラーやガードレースのさびとか細い路地とかコンクリートの汚れ具合とか現代の萌え風景もたくさん描けるまんがなんだよ!」とあり、なるほど、と思った次第。そういう漫画だそうだ。それを成立させるために、猫を投入した様子。


この作品が似たような作品と違う点は、この先どうするんだ、という時に、ヒロインの状況は解決させないといけない、という明確なテーマがあるところ。こうした設定をしていない作品は話を畳むことなく拡散して休止しがち。本作はきちんと設定されているので、そうしたことはなかろう点が安心できる。まぁゆるゆるなままの話でもいいのだけれど、そういう作品は続かないことが多いので…。


【データ】
漆原友紀
猫が西向きゃ
【発行元/発売元】講談社 (2019/2/22) ※電子版で購入
■評価→ B(佳作) ■続刊購入する?→★★★★★
■購入:
amazon→ 猫が西向きゃ(1) (アフタヌーンKC)

漆原友紀(『蟲師』『水域』)の最新タイトルは、“フロー”と呼ばれる奇妙な自然現象を処理するフロー業者・ヒロタと、アルバイトの智万ちゃん(見ため12歳、実年齢35歳)、そして“しゃちょう”(猫)が贈るストレンジなお仕事活劇! 三叉路が七叉路に増殖してたり、物体のカドがぜんぶ丸くなってたり、鏡の中に鏡反転の世界が生まれてたり。そんな変な光景を見かけたら、それは“フロー”。自然もときどき間違えるのだ。


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【オススメ】 嬉野君、夏目イサク/熱帯デラシネ宝飾店


熱帯デラシネ宝飾店 (1) (ウィングス・コミックス)

■【オススメ】荒唐無稽もテンポよく、 主人公に好感が持てる変則バディもの、変則探偵もの。

大地主の一人娘だが、5年前に亡くなった大叔父の 殺害容疑をかけられて勘当扱いとならざるを得なくなった ヒロイン。その好きだった大叔父の遺産を目指して大陸へ。 そこには大叔父に恩義を感じている者たちが。 彼らこそ大叔父が彼女に残した遺産だった。


パスポートも要らない街で、失敗しないボディガード 業を営む男たち。そこに舞い込んだヒロインは、 新たなネタも引き込んでくる。巻き込まれ型サスペンス兼探偵バディもの、の変形。ヒロインは無知な面もあるが教育を受け 素直で礼儀正しく正義感もあるが押し付けがましくなく何より 行動力がある。無鉄砲に見えるが馬鹿な行動ではない、 考えて動く完璧なヒロインである。


ヒロインの実家はどんな存在か、大叔父は何者か、 冒頭の場面は一体いつでボディガードが電話で話す 日本の相手は誰なのか、そもそも何語で会話しているのか。 荒唐無稽だが、そこを蹴散らかす勢いがあるので良しとする。


ボディガード業への依頼が一筋縄ではいかず、 ツイストがあるうえに街の状況も浮かび上がらせるエピソード となっているのは上手い。ヒロインもそれを受け入れる側も 肝が据わっているのはこの手の話としては珍しく、 そうした設定にしてくれたおかげで非常に読みやすい。


続刊3巻刊行済→熱帯デラシネ宝飾店(3) (ウィングス・コミックス)


【データ】
原作=嬉野君、夏目イサク
熱帯デラシネ宝飾店
【発行元/発売元】新書館 (2017/2/24) ※電子版で購入
■評価→ B(佳作) ■続刊購入する?→★★★★★
■購入:
amazon→ 熱帯デラシネ宝飾店 (1) (ウィングス・コミックス)
大地主・雪村家の一人娘にして次期当主の女子高生・真咲(まさき)は、大叔父・周作の殺害容疑をかけられる。村を逃げ出した真咲は海を渡り、周作の遺言を頼りに無法地帯と言われる燭銀街(しろがねがい)に。そこで彼女を待っていたのは大叔父の遺産代わりの三人の男――琥珀(こはく)、翡翠(ひすい)、珊瑚(さんご)。彼らは「宝飾店」と呼ばれ、金で護衛を引き受ける優秀なボディガードだった……!! 「飴色パラドックス」の夏目イサク&「金星特急」の嬉野君の最強タッグが送る、大型長篇ストーリー開幕!! 雑誌掲載時のカラーを再現したデジタル版限定仕様!


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【オススメ】 朱戸アオ/インハンド プロローグ


インハンド プロローグ1 ネメシスの杖 (イブニングKC)

■【オススメ】医療医学系作品といえば著者。 新作、ではなく新装版だが、この後の作品は 3巻として出るかもしれないので改めてご紹介。

朱戸アオ作品を読んでいる人には想定内の、 でも知らない人には読み応えのある医療系 サスペンス。なのだが。 副題が同じだなと思いつつ6年前に読んだ 内容ママの新装版なのだった。


なのでレビューはこちらを。→「 ネメシスの杖 」 そして2巻も、別に2016年に刊行された 「インハンド 紐倉博士とまじめな右腕 (アフタヌーンKC)」の新装版だと。これ、紹介しそびれたままだな。


これらをまとめて「インハンド プロローグ」としてリリース、 現在連載中の新「インハンド」第3シリーズにつなげる、という構成。 当初リリースされた「ネメシスの杖」では主人公として重きがあったのは医療事故調査の調査員だったが、それをシリーズ化するにあたり調査を手伝った天才研究者中心としたのは正解。そのほうが話も広がる。 そもそも、主人公自身にも背景がある。主役が正義漢では話は膨らみようがないので、これで良い。



朱戸アオ
インハンド プロローグ
【発行元/発売元】講談社 (2019/2/22) ※電子版で購入
■評価→ B(佳作) ■続刊購入する?→★★★★★
■購入:
amazon→ インハンド プロローグ1 ネメシスの杖 (イブニングKC)
医療事故調査を行う行政機関「患者安全委員会調査室」。調査員・阿里 玲のもとに、ある内部告発文書が届く。 「台田総合病院はシャーガス病に罹患した患者を隠蔽している」調査のため病院へ向かう阿里だが、そこには想像以上の悲劇が待ち受けていた……!人間と組織に巣食う「闇」に対峙する、本格医療ミステリ!


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【オススメ】 川端新/月光社ボーレイ奇譚


月光社ボーレイ奇譚(1) (ボニータ・コミックス)

■【オススメ】憑依系演技ものの変形。他人になりきる人間代行の 仕事をするお話。

時代は昭和初期。便利屋稼業の変形、他人になりきる代行業を行っている月光社。そこでは、時に姿から声まで変装して代行を請け負うのだった。


社員は社長と女性の二人きり。この女性が、依頼された人物になりきり、姿形から行動まで変装するという話。依頼ごとにエピソードが展開されるのは探偵ものと同じ。一方で、ある人物になりきる、というのは憑依ものの演技と同じ。


ということで、俳優の演技話とクロスするエピソードあり。寧ろ そちらでヒロインの出自を匂わし、本筋はこちらにあるのか?と 思わせる。


大きな物語としては、相手の期待する誰かを演じることで生きている ヒロインが、自我のない状態からどう成長していくのか、が ポイントになるのだろうが、居場所も仕事も信頼するパートナーも いる状態であるというのは展開としてはネック。 エピソードを積み重ねて転がしていくことは出来てしまうだけに、 この先どう話を持っていくのか、興味深い。


【データ】
川端新 (かわばたあらた)
月光社ボーレイ奇譚
【発行元/発売元】秋田書店 (2019/1/16) ※電子版で購入
■評価→ B(佳作) ■続刊購入する?→★★★★
■購入:
amazon→ 月光社ボーレイ奇譚(1) (ボニータ・コミックス)
姿から声まで、そっくりそのまま入れ替わる“人間代行”の仕事を請け負う「月光社」。ある日、1件の依頼が月光社に舞い込んだ。内容は、依頼人の親に「普通に暮らしていく」と告げること、ただそれだけ。だが、この依頼は一筋縄ではいかないようで…!? “ボーレイ”と呼ばれる少女・神保レイ子の妖しげなる変身活劇の幕が上がる…!!


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【オススメ】 川端新/神軍のカデット
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【オススメ】江戸川治/ホウキにまたがる就活戦争


ホウキにまたがる就活戦争 1 (ジャンプコミックス)

■【オススメ】実力はあるのだがあがり症ゆえに発揮できない 魔法使いの話。途中から師匠とのバディものにしたのは正解。

剣と魔法の世界。魔法学校を出ながらも就活連敗中 の少女が主人公のお話。極度の人見知りゆえ 人の目が気になって実力が出せない。 だが実際は世に5人しかいないといわれるドラゴンを 使うことのできる力量を持っているのだった。


貧乏な家で、母親が頑張って魔法学校に通わせてくれたのだが、 そんな状況でもあがり症を克服できない、というのは 少々微妙。さらに、魔法使い就職氷河期、という設定 となっているが、これは逆に売り手市場なのに彼女だけ 就職が決まらない、くらいなほうが良かったのではないか。


などと前半はもやもやする部分あり。そんな状況でも 火事場の馬鹿力でドラゴンを召喚し他の魔法使いの悪行を 止めたことで、彼らに狙われる展開に。とはいえ話のアクセルに かける中、彼女は恩人と慕う魔法使いに再開する。 師匠とのバディものとなったことで物語は転がり始めた。


ヒロインがフラットでプレーンなキャラクターで、 あがり症さえなければ、という状況なので、 むしろ師匠にポイントを移さないと 大きな物語となりえないのではないかと思うが、 そのあたりも意識したバディものとして展開するのであれば 面白くなりそう。ちょっと甘めの評価も期待値込で。


【データ】
江戸川治
ホウキにまたがる就活戦争
【発行元/発売元】集英社 (2019/1/4) ※電子版で購入
■評価→ B(佳作) ■続刊購入する?→★★★★
■購入:
amazon→ ホウキにまたがる就活戦争 1 (ジャンプコミックス)
ここは、剣と魔法の異世界――。魔法使い達が皆、お城の“お抱え”になることに憧れる大就職氷河期まっただ中。あがり症の魔法使いの少女・ニコは、無事に就職することができるのか!? こじらせ就活ファンタジー、開幕!!


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【オススメ】 江戸川治/仁義なき吉田家

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【オススメ】 むこうやまあつし/正しい妖怪の食べ方


正しい妖怪の食べ方 1 (BUNCH COMICS)

■【オススメ】グロテスクなものを、ほんわかで包んでソフィスティケート。

ほんわか天然系の奥さんとでかけた夫。妻が冬眠している河童をつかまえ、あまつさえ「この河童ぷくぷくしてて美味しそうだよ!!」とのたまったことに彼は頭が混乱、気を失ってしまう。


田舎では妖怪を食べるのが普通、霊力がつくということで実家から送られてくる食材を用い普段から妻は料理を作って供していたのだった、というお話。なので夫も妖怪がその目で見えるように。


妖怪を食べる、断りもなく食卓に並べ夫にも食わせている、という点でグロテスクやサイコパスっぽいとの感想もありそうだが、よくよく考えれば妻の実家では普通に食べているものであれば、それは文化の違い。そして調理の仕方もあるが食べてみればいずれも美味、ということであればますます。


そもそも、グロテスクもなにも、妖怪を食べるのと動物を食べるということに違いは特にない。作中にもあるが、昆虫を食べるのがグロテスク、というのと同じ。そんなことを思わせる、ユニークなアプローチの一作だった。よくいろいろと妖怪と調理法とを考えたものである。ま、怖いっちゃあ怖い話。


【データ】
むこうやまあつし
正しい妖怪の食べ方
【発行元/発売元】新潮社 (2019/1/9) ※電子版で購入
■評価→ B(佳作) ■続刊購入する?→★★★★
■購入:
amazon→ 正しい妖怪の食べ方 1 (BUNCH COMICS)
読切から人気を博し、連載となった注目作が遂に単行本化! いつの間にか妖怪が視えるようになっていた主人公。それはどうやら、恋人のさく子が作る料理を食べていたせいで……。揚げれば美味い、一旦木綿!? 茹でて美味しい、河童鍋!? 凸凹カップルがおくる、新感覚妖怪グルメ♪



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