【オススメ】 松浦だるま/いまかこ


いまかこ (イブニングKC)

■【オススメ】いなくなった人たちを思い出にできない人たちの話。

災害で恋人を失った美術予備校の講師。震災で父を亡くした中学生。彼らは、他人には理解されない共通の能力があった。


本ブログでは結局どうレビューしようか悩んでいるうちに「累」を取り上げ損ねてしまったのだが、本作も正直いって難しい。表紙も購買意欲をそそるのか微妙。一巻表記が奥付にはあるが表紙にはなく、シリーズものだが一巻完結なのかどうか、ここで完結だとしたらなかなか思い切った終わらせ方だが…。


人が亡くなった場所が今の景色にかぶって見える場所の幽霊が見える講師。一方の中学生は亡くなった人にまつわる音が聴こえてくる。いずれも、見たくない、聴きたくないのに、情報が勝手に押し寄せる。それをメガネやイヤホンで防御している。見えたり聴こえたりしたところで何ができるというわけでもない、過去が見えたところでどうなるというのか…。寧ろ過去に囚われ、連れ去られてしまうのではないか。


この、過去に縛られる感覚。それを直視し乗り越えることで思い込んでいた過去の縛りが解け、新しい未来が目の前に拓けてくる。そんな話、なのだろうか。


【データ】
松浦だるま
いまかこ
【発行元/発売元】 講談社 (2020/2/21) ※電子版で購入
■評価→ B(佳作) ■続刊購入する?→★★★★
■購入:
amazon→ いまかこ (イブニングKC)
「累」松浦だるま最新作! “場所の幽霊”と呼ばれるもう無い風景がみえる男・鶴見也徒。死んだ人の“音の幽霊”がきこえる少女・早淵今。不思議な霊感のようなものを持つ二人の出会いのはてに待つものは救いか、それとも。



■当サイトの月間オススメはこちらから

【オススメ】 日向夏、倉田三ノ路、しのとうこ/薬屋のひとりごと〜猫猫の後宮謎解き手帳〜


薬屋のひとりごと〜猫猫の後宮謎解き手帳〜(1) (サンデーGXコミックス)

■【オススメ】小説のコミカライズ。原作を土台にスピーディに展開していく古代中国風ミステリ。

2018年リリースですがレビュー漏れでしたのでご紹介。 原作は「小説家になろう」発だがいわゆる「なろう系」とは一風違う、ラノベ系という感じでもない一品。古代中国風の皇帝を戴く貴族社会の後宮を舞台に、薬学の知識があり毒と調合にだけ好奇心が旺盛な薬屋の娘が巻き込まれる話。


そのコミカライズ。ビッグガンガンコミックスとサンデーGXコミックスで同時進行、というのが今ひとつわからない。前者は少女漫画っぽく、後者である本書はミステリものっぽいとのことだが、そうであれば前者の出版社やレーベルは違う気もするが。


小学館版の本書は、絵も話も綺麗に整理され、テンポよく展開していく漫画に仕上がっている。白泉社の花とゆめコミックスの定番セオリーだった3ページで設定を説明するロケットスタートに近い導入。ただ白泉社ものと違うのはその後の話の転がりも早いので、あっという間に物語が進行していくところ。このジェットコースター的スピードに乗れるか乗れないかが読み手を分けそう。原作を読んでいると、うまく整理して要所を抜き出してコマの大小ズームの有無を選択し描いているなぁと感心する限りだが、原作未読者には情報が多いかも?


拐かされて後宮に入ったが手付きにならなければ下働きとして2年で年季があけるのでそれを望んでいたヒロイン。下働きなのに字も読めて薬の知識もあるヒロインに地位有る立場の宦官が興味を持ったことで、彼が抱える事件の解決に駆り出されることになる。妃付きの下女として働くことで後宮の世界で彼女の顔が売れていく。一方彼女は花街の薬師の娘でありその世界でも顔が利く。というのが一巻時点の設定である。


小さなエピソードと大きな物語とがあるのだが、その大きな柱がイマイチわかりづらい、見えづらい、主張してこないので淡く軽く見えるのが原作の微妙な点。なにせ、ヒロインの出生、親に関する話に関しては原作の1冊目でも曖昧にしか出てこない。宦官に関する話も同様。なので本当の話はぼんやりとした中で展開していく物語なのでなんとなくモヤッとするのは致し方なし。そこを本作では原作1巻の軸となる話を目立たせる構成でメリハリをつけたうえで、巻末でもここがポイントと強調しているのは読みやすいところ。


こんな面白い話がアニメ化されていないなんて、と思うが、題材が題材だけにアニメは微妙か。夜のテクニックの話も随所に混ぜ込まれる話なだけに…。原作はこちら →薬屋のひとりごと (ヒーロー文庫)


【データ】
原作=日向夏、作画=倉田三ノ路、キャラクター原案=しのとうこ
薬屋のひとりごと〜猫猫の後宮謎解き手帳〜
【発行元/発売元】 小学館 (2018/2/19) ※電子版で購入
■評価→ B(佳作) ■続刊購入する?→★★★★
■購入:
amazon→ 薬屋のひとりごと〜猫猫の後宮謎解き手帳〜(1) (サンデーGXコミックス)

大ヒットラノベ、待望のコミカライズ化! 誘拐された挙句、とある大国の後宮に売り飛ばされた薬屋の少女・猫猫(マオマオ)。年季が明けるまで大人しくしようと決めていた猫猫だったが、あるとき皇帝の子どもたちが次々と不審死することを知る。好奇心と少しばかりの正義心、そして薬屋の知識を使い、その謎を調べ始めてから猫猫の運命は大きく変わって…? “なろう”発の大ヒット異色ミステリー、待望のコミカライズ登場です!!



■当サイトの月間オススメはこちらから

【オススメ】 天原、masha/異種族レビュアーズ


異種族レビュアーズ (ドラゴンコミックスエイジ)

■【オススメ】発想も面白いがそれを丁寧に小出しにしていく構成も巧い。

今更ですがご紹介。アニメ化するってところが正気かと思いつつ、そりゃあ地上波の放送は無理だろう…それも含めて炎上と話題目当ての戦略なんだろうけど。


異種族が住む世界の話。そこではサキュパスも存在するということで、世のエロティック産業はそれを理由にすべてセーフとされている。ダイバーシティ、多様性って、こういうことよね。


それを前提に、いろんな種族の者が異種族のその手の店に行き、それぞれの視点で批評するクロスレビューがメインコンテンツという作品。人間は見た目が可愛い相手であればよく、魔力に関しては全くの無知であり気にしない、だが他の魔族にとっては年寄りのエルフは苦手な存在、魔力も若いほうが生命力が良いとして、種族によって視点が全然違うという。じゃあ各種族でどう見ているのかをクロスレビューして可視化しよう、というところから、その記事が話題を呼び、収入にもなり、じゃあ仕事としてやろうじゃないか、という流れになるというお話。


この、なぜクロスレビューが生まれたのか、についての流れが丁寧に記されているところが本作の良いところ。あとはいろんな種族を出していけば良いので普通の人間界の風俗レビューよりもバリエーションは多くて無限。エロな内容だが描写はそこまでエロエロではなく、シチュエーションがエロいだけなのでイイ線をついている。が。アニメ化はしないだろう…絵はよくても音声が引っかかりそう…。


【データ】
原作=天原、作画=masha
異種族レビュアーズ
【発行元/発売元】 KADOKAWA (2017/9/8) ※電子版で購入
■評価→ B(佳作) ■続刊購入する?→★★★★
■購入:
amazon→ 異種族レビュアーズ (ドラゴンコミックスエイジ)
足しげくムフフなサービスをしてくれるサキュバス嬢のお店に通う人間の冒険者・スタンクは、ある日種族間の(性的な意味での)感性の違いで悪友のエロエルフ・ゼルと衝突する。決着の方法は、嬢のレビュー!?


■当サイトの著者他作品レビュー
天原、クール教信者/平穏世代の韋駄天達

■当サイトの月間オススメはこちらから

【オススメ】 餅田まか/魔女先輩日報


魔女先輩日報(1) (プリンセス・コミックス)

■【オススメ】 一生懸命で不器用な魔女の先輩と、後輩とのうぶなラブコメ。かわいい。

仕事終わりの後輩は帰り道に箒にまたがり空飛ぶ魔女の先輩と出会う。 要領が悪く頼まれたら断れないお人好しな彼女に後輩男子は正直イライラ。 …まぁ当然のごとくそれは恋の始まりなのだが。


不器用な先輩とそれを気遣う後輩とのラブコメ。社会人としてはちとウブではないのといいう気もするが、魔女である先輩の設定が適切なので納得感はある。魔法使ってズルしてるんじゃないの?と思われるのがイヤで、なのでいろいろ気を回しているうちに、便利使いされるようになった、と。


自分がなく自己肯定感も低い彼女には、魔法や魔女に対して批判的な人がいる状況もあるようだが、その辺りはさらっとすましている。そんな彼女がきちんと自分のことを考えるようになる展開は心地よい。


弟や話せるイグアナに加え元の彼氏が登場。その元カレ出現のおかげで物語としても人としても大きく転換していくところは良い話。踏ん切りをつけるところできちんとつけるというのは、大事。


【データ】
餅田まか
魔女先輩日報
【発行元/発売元】 秋田書店 (2020/2/14) ※電子版で購入
■評価→ B(佳作) ■続刊購入する?→★★★★
■購入:
amazon→ 魔女先輩日報(1) (プリンセス・コミックス)
仕事の帰り道、魔法であたためた一杯の缶コーヒーから、ぼくと魔女先輩の関係ははじまった。とくに役にたたない魔法と一緒に都会のかたすみで生きる、魔女先輩のものがたり。


■当サイトの月間オススメはこちらから

【オススメ】 上野はる菜/ハナさんは実らせたい!


ハナさんは実らせたい!(1) (Kissコミックス)

■【オススメ】見合い相手に断られたけど、 実は彼とは別の繋がりがあって…瓢箪から駒になりそうな物語。

婚約していた相手が浮気。彼が裏切ることが相次ぎ、 家族には何かに憑かれているのでは?とまで言われる女性。 しかもその後の通勤電車では痴漢被害に。 その時助けてくれた相手と、お見合いする羽目に。 実は妹に持ち込まれた話だったのだが…。


彼と会って話もはずんで、この相手なら、と思ったが、 先方からはお断りが。しかしその後も偶然彼と出会い、 その時、自分の家庭菜園ブログによくコメントをつけてくれる 常連さんが彼だと気づく。そして、彼の勤めている会社が 中途入社を募集していることも知り、応募したところ見事に就職が決まるのだった。


ヒロインのキャラクターが割とさばさばしていて、リアリティあって面白い。見合い相手には、ブログの常連さんかもしれない、という点で執着しているだけなので、ストーカーとはまた違う。相手にはプレッシャーかけてるかもしれないという自覚はあれど、それはそれでと面白がってもいる。 …こんなキャラクターが浮気されるかな、と思いもするが、まぁそこはオミットするとして。


表向きな建前と本音が、ブログを通して現れる、というのはユニークだが、しかもそれがブログにコメントを寄せる常連さんに適用されるところが秀逸。そもそも仕事ができる二人なので、読んでいて心地よい話に仕上がっている。あらすじ読んで想定した内容より遥かに面白い。その後のツイスト具合も絶妙。妹の設定が展開に効いている。この作者さん、巧いな。


【データ】
上野はる菜
ハナさんは実らせたい!
【発行元/発売元】 講談社 (2020/2/13) ※電子版で購入
■評価→ B(佳作) ■続刊購入する?→★★★★
■購入:
amazon→ ハナさんは実らせたい!(1) (Kissコミックス)
痴漢から助けてくれたイケメンと、お見合いで再会! 食事の約束もして、いい雰囲気…だったはずなのに、まさかのお断り!! 「そもそも結婚する気なんてないんです」という彼に、怒り沸騰するけれど、彼がネット上の知り合いかもしれないことが発覚! 現実での嫌な彼、ネット上での優しい彼、どっちが本当? 彼のことをもっと知りたいと思ったハナさんは、勢いで彼の勤める会社の中途採用に応募。するとラッキーなことに採用されて、彼と同僚になれちゃって…!? 愛情重すぎ女子×恋愛に興味がない男子の全力ラブチェイス、単行本版で登場!!



■当サイトの月間オススメはこちらから

【オススメ】 音井れこ丸/その時の彼女が今の妻です


その時の彼女が今の妻です (ビームコミックス)

■【オススメ】題名通りのワン・テーマもののオムニバス短編集。 上手い。そしてヒロインはほぼ全員、若林さんなのだった。

ありがちかもしれないきっかけを描き、題名通り「その時の彼女が今の妻です」と落とす、掲示板やSNSでよくありそうなネタで綴るショートショート。1テーマでいくつものシチュエーションを想定していく著者の真骨頂。


1話めはそこそこありそうなものなのでこんな感じでいくのかなと思っていると2話めで相当なさそうなシチュエーションを放り込んでくる。そして4話めでヒロインの名前が出てきて以降安定してヒロインは「若林さん」に。


個人的には9話めの消防士のエピソードが好き。このひねったエピソードで全体が引き締まった。ツイストのある話がところどころ出てくるところが同じ題材でも味変次第で雰囲気が変わる感あり、一巻飽きずに読めました。終盤は同じシチュエーションから視点を買えて描いていく話でまとめていて上手。


そして巻末にはおまけとして、マシュマロにまつわるエピソード、というか「おじさんとマシュマロ」の一話めを焼き直し伸ばした話に。洒落た一冊に仕上がっています。


【データ】
音井れこ丸
その時の彼女が今の妻です
【発行元/発売元】 KADOKAWA (2020/2/12) ※電子版で購入
■評価→ B(佳作) ※一巻完結
■購入:
amazon→ その時の彼女が今の妻です (ビームコミックス)
不意打ちの出会いに、クスっとホッコリ。 ロマンチックじゃないけれど、なんだかグッとくる"胸キュン"な瞬間を激写するショート・オムニバス。


■当サイトの著者他作品レビュー
【オススメ】 音井れこ丸/若林くんが寝かせてくれない
【オススメ】 音井れこ丸/おじさんとマシュマロ
■当サイトの月間オススメはこちらから

【オススメ】 池田邦彦/国境のエミーリャ


国境のエミーリャ (1) (ゲッサン少年サンデーコミックス)

■【オススメ】東京が東西冷戦期のベルリン状態だったら、というパラレルワールドもの。焦点を絞って話を進めているところが上手い。

1960年代の日本が舞台。ただし、現実の日本ではない。敗戦後東西が分割占領されたパラレルワールド。東京より東はソ連統治、西は英米統治地区。そして東京は、北区文京区台東区および中央区の一部以東は東、以西は西と分断され壁が築かれていた。


そうしたハード面の仮想設定に従い展開されるのは東側を舞台にした話。19歳の笑わない少女が主人公。彼女は人民食堂で働いていたが実は彼女は西側への亡命を手助けする脱出請負人だった。


そこへ単身、人民警察の者が依頼を装いやってくる、というエピソードが第一話というフルスロットルで始まる物語。この出し惜しみないスピード感ある話の入り方は見事。


仮想世界ものは珍しくはないがハード面の構築を丁寧に行う必要があるので手間暇がかかる。まぁ本当はどんな作品でもそうなのだが、現実ベースだとなりで良いところをこの手の作品は全部シミュレーションしておく必要があるのでより手数がかかる。その分、きちんと手数をかけると作品は確実に佳作となる。タイムリープものに佳作が多いのと同様。


兄に関するエピソードは生真面目すぎ、親友に関するエピソードもウエットなところがあるが、それも1960年舞台の仮想世界ものでこの絵柄という点で非常に似合う。内容はハードボイルド。かつての劇画調なテイストをいま新作で描くのは一周まわって新しい。著者は良い鉱脈を発掘したのではないか。


一方で宣伝惹句が冒頭で「鉄道漫画の旗手」として著者を紹介しているのはミスディレクション招くかも…本作でも鉄道ネタが随所に出てくるのは著者が手掛けているがゆえのストロングポイントだとは思うが、鉄道もの期待して読む人向けの内容ではないし、著者紹介して読者呼び込む内容ではないので勿体ない売り方なのでは。なお監修の津久田重吾さんは「いまさらですがソ連邦」(ソ連・ロシア好き声優・上坂すみれさん絶賛!!)などの書物がある方ですね。


【データ】
池田邦彦、監修協力=津久田重吾
国境のエミーリャ
【発行元/発売元】 ※電子版で購入
■評価→ B(佳作) ■続刊購入する?→★★★★
■購入:
amazon→ 国境のエミーリャ (1) (ゲッサン少年サンデーコミックス)

鉄道漫画の旗手・池田邦彦が挑む新境地!!
『カレチ』『甲組の徹』『グランドステーション』など、 数多くの鉄道漫画を生み出してきた池田邦彦が 新たに挑むのは「仮想戦後活劇」!
物語の舞台は、太平洋戦争末期に本土決戦を経て 「1946年1月」に敗戦を迎えた日本。 ソ連を含む各国軍によって分割占領された日本は、 やがて「日本民主共和国」と「日本国」として独立。 それぞれが東西陣営に属する国家となり、 列島には鉄のカーテンが降ろされることとなる。
両国の境界には強固な壁が建設され、 国境の街となった東京は東西に分断されてしまう。
1962年の東トウキョウ。 押上で暮らす19歳の杉浦エミーリャは 十月革命駅(旧上野駅)の人民食堂で働く女性。 その彼女が持つもうひとつの顔、 それは東から西へ人々を逃がす脱出請負人としての顔。 若くして危険な橋を渡る彼女を待つ未来は果たして!?
“可能性としての東京”を舞台に、 壁の街で自分の道を模索する人々の物語、ここに開幕。


■当サイトの著者他作品レビュー
【オススメ】 池田邦彦/山手線ものがたり
【オススメ】 池田邦彦/シャーロッキアン!

■当サイトの月間オススメはこちらから

| 1/344PAGES | >>

search this site.

mobile

qrcode

selected entries

categories

profile

others

powered

無料ブログ作成サービス JUGEM